三国志1〜6 / 北方謙三

三国志 (1の巻)
三国志 (1の巻)
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北方 謙三
角川春樹事務所
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最初に北方三国志が書かれると聞いたときには正直ピンと来ませんでした。ハードボイルドな三国志? しかし、読んでみると意外と文体とマッチしているものです。
いわゆる三国時代前後の出来事の隅々を書くわけではなく、主要な人物の生き様に焦点を当てて行きます。北方先生お得意の創作された人物も、ここでは人々の行動する意味を補強する登場人物になります。そう、北方三国志は、みんなが知っている物語の流れについて、何故、人物たちはそういう行動を取ったのか、結果として何が起こったかを詳細に描き出しているのです。軍人として行き、軍人として死んだ呂布。ただの乱暴ものではない張飛。皇帝を敬う荀紣。etc..。みんなが知っている有名エピソードも有名であるがゆえに(読んでいる人も知っている前提で)省かれ、後に触れられることがある程度だったりします。そんなスピード感でエピソードはどんどんかっとんで行きますが、全13巻。1〜6巻までは小勢力を保ったまま耐えに耐える劉備袁紹と乾坤一擲の勝負に挑む曹操、南で勢力を確立する孫家を描く前半戦。そして劉備臥竜を得て時は舞台は赤壁に…。長さを感じさせないテンポのよさで進んでいきます。
創作された人物が気にならなければ、人々の動きに納得のいく流れになっています。三国時代を俯瞰して眺めるにもいいと思います。