無断リンクについて大事なことを総括
無断リンク禁止を声高に主張すると無断リンク禁止派の人が大挙して押しかけてくるというのは歴史は繰り返すと言うか、かつてもよくあった話で、特に珍しいことではありませんが、そろそろ話題も収束してきたと思うので軽く総括してみます。
法的見解
http://homepage3.nifty.com/machina/r/link.htmlなどに詳しい。政府見解的には「リンクを張る行為自体は現行の著作権法上も、この改正をもしお認めいただいた新しい著作権法の上におきましても自由に行われるものでございまして、リンク先のホームページ作成者の許諾というのは不要だというふうに私どもは考えておるところでございます。」。ただし、フレームなどを使ってあたかもそのページを保有しているかのように表示する行為は同一性保持権を侵害する可能性あり(これは無断リンクとは別の問題ですね)。
個人的見解
リンクに無断もへったくれもあるか。http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20061009/p1で述べているように、「インターネットに文書を公開しておいて、リンクするなと言う主張をすることは、出版して本屋に置いたけど著者の許可無くして購入しないでくださいというくらい無茶な話」。
本来あるべき姿
無断でさわられたくない文書は、http(あるいはhttps)ではない他のプロトコルで公開されるべき。httpというプロトコルは、成り立ちから言ってもリンクされることを最大限許容するプロトコルである。認証して個人を判別するサイトも例外ではなく、いつ公開・流出してもおかしくないと言う認識の下、自己防衛しつつ使用するべきものである*1。
結論
無断リンクを禁止すると言う(私的な)規約は全く有効ではない。閲覧制限をかけた場合、それを回避して閲覧できる状態にすることは不正アクセス禁止法に違反する可能性がある。しかしその方法がサイト構築者の過失(不正アクセスの要件に因らない方法でアクセス可能)であれば問題はない。リンクそのものはリンクを記載しているWebページに属するものであるから、他の何物にも拘束されない。つまり、無断リンクという言葉そのものが本来はありえない。
余談
とはいえ、かつては「リンクしてもいいですか」や「相互リンクしましょう」が文化だったこともあるという文化も一部では盛んであった。これはしかし同好の士を見つけて敬意をはらうようなところから発する礼的なものであり、仲良くなる意図があって行っていたものである。当時から相互じゃないし掲載元の許可を取らないリンク集は存在したし、それについて文句を言っている者が居なくはなかった。ネチケット的な考え方はWebという世界の捉え方によって千差万別(は言い過ぎか)であり、誰が正しいとは言い切れないものではある。だが、少なくとも現時点では無断リンクを違法とする根拠は何もない。嫌だと思うのは勝手だけれども拒否するすべがない以上、制御できないやり方では公開しないと言うのが唯一逃れる手段である。
蛇足と修正(13:40)
このまとめ自体は個別の事例を取り上げるのに相応しくないので序文から事例を削除。はてブの話は蛇足としてここに移動。そもそも取り上げたきっかけははてブではなく高木氏の電凸のお話なので…。はてブコメント炎上を起こす話は無断リンクとは関係ないですね。ソーシャルブックマークのような仕掛けによって本来「たまたまorちょっと関係していて」見るだけだったサイトが誰かのアンテナに引っかかるとたちまち不特定多数に見られると言う現実。ソーシャルブックマークは炎上容易性に貢献している。一人一人は軽くコメントするのみにとどまっていても取り囲んで叩いているような構図になるのという現象を見る限り、はてブコメントは匿名掲示板によるネットウォッチに近いものがあります(匿名度は多少低いとしても)。いや、わざわざネットウォッチを目当てに掲示板に行く人でなくても目に入る場所で堂々と行われると言う点ではより性質が悪いという気もします。
*1:一般的に啓蒙不十分な問題