ガニメデの優しい巨人 / J.P.ホーガン

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

前作「星を継ぐもの」では結局謎のまま残されたガニメデ(木星の衛星ですね)の巨大な知的生命体。色々と残された手がかりからその存在が明らかになったわけですが、いなくなったはずのガニメアン(ガニメデ星人)が悠久の時を超え、太陽系に帰ってきます。遭難し、制御できないまま所謂ウラシマ効果を甘んじて受け入れたガニメアン、行き着いた時代がたまたま地球人がガニメアン宇宙船との邂逅を果たしたときであったと言うのはまあちょっとお約束な展開ではありますが。
前作では主人公の科学者ハントの敵役的存在であり、頑迷な科学者といった雰囲気を漂わせていたダンチェッカーが今回はえらくかっこよく、ガニメアンと地球人の生物学的な謎を解き明かして行きます。太陽系に戻ってきたガニメアンが見たものは、そして最後に到った結論は、作者の明るい未来へのビジョンが垣間見え、あたたかい気持ちにもなります。
「星を継ぐもの」を読んで面白かった人は是非これも読んで欲しいと思います。