P2Pでのファイル共有違法化の壁

さすがに釣りか煽りか書き損じだと思うのですが。

ぶっちゃけ、P2Pソフトのファイル共有は、アメリカから要望されるまでもなく違法です。
私的使用のための複製について定めた、著作権法30条を見てみてください。

第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

ファイル交換ソフトに広く公開することを目的とした複製は、私的使用のための複製にはあたりません。個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的としているとはいえないからです。

http://nagablo.seesaa.net/article/43765532.html

いや、確かに仰るとおりなのだけれども、ちゃんと主体を書くと、正確なことを言っていないことがわかります。
つまりP2Pソフトでの、「著作権者の許諾を得ない」ファイル共有が違法。それは、はじめからわかりきっている話で、それをファイル共有という括りにしてしまうのはなんて統制社会主義
ソフトウェアのように、著作物であり、使用が制限されていながらファイル自体の流通はフリーでライセンスにより制御される*1ものもあるし、一括りには出来ない話ですよね。
以上、上記は「著作権者の許諾を得ない」ファイルのことを大前提として話していると仮定して、引用元の議論についてはみなが議論している論点は全然そこではないということに言及するにとどめておきましょう。
さて、著作物とP2Pに関する問題は、自分がダウンロードしているものが、果たして違法送信されたものか、知るべき手段が限られている、ということにあると思います。P2Pを使用しての「配信を自由に認めた」ファイルを共有するのが違法となったらそれはさすがにやりすぎというか、憲法に触れそうな気がします(調べてないけど)。あらゆる著作物はしかるべき機関がコントロールすべき、というのは気持ち悪いですよね。一方、違法だと知りえてダウンロードする場合、私的複製の範囲を超えているといってよいと思いますが、どうやって知りえるのか。
いちばん簡単なのは、ファイルに対するハッシュなどのホワイトリストを作って、それに合致しないものは全て違法とする、というものですが、そうすると著作物の一元的なデータベースが必要で、しかも登録する為にはきっと個人情報が必要で、それはそれでイマイチですし、何か別の利権が発生しそうな臭いが漂ってきますね。
ブラックリスト方式は、この手の仕掛けにとっては無意味で、ファイルをちょっと加工するだけで他のものとして扱われてしまうわけですから、いたちごっこを誘発するだけです。
ただ、こういったものは、全てを網羅的に摘発する必要はなく、いたちごっこであってもそのとき合致した不幸な(自業自得だけどね)犠牲者を見せしめ的に捕らえていけば、抑止効果は十分あると考えられます。個別のものがある程度犠牲になるにしても、トータルの幸せになるのであれば、それでよいのではないかと思います。違法なことをする人に、それが違法であること、またそれによるリスクがちゃんと存在することを知らしめることができればよいのです。
ただ、それだとダウンロード側を違法にするのは本当にブラックリストに載っているものを「それと知って」ダウンロードした人だけになっちゃいますけどね。アップロードする人が全滅すれば違法なコンテンツ送信は自然減少するとは思いますよ。ちょっと楽観的ですかね。

*1:そもそもこういう形態のものまで従前の著作物と同じ著作権を認めるということ自体どうかと思ってたりしますが。著作権フリー・期間使用権配布か、著作権保持・売り切りのどちらかにして欲しいものです。