実名ウェブの実現方法の模索

http://d.hatena.ne.jp/yama_r/20070624/1182616365につけたブクマコメントについてのid:himagine_no9さんの問いかけに対する回答をして見ます。
ブクマから抜粋

himagine_no9 匿名性 ネットに文章を掲載するときに実名を強要することは著作権法上の著作者人格権(氏名表示権)に抵触する。名義も含めて表現の自由だからね。 id:NOV1975 さんは小倉弁護士の共通ID構想にはどうお考えでしょうかね?
welldefined 実名を流行らせるというのも非現実的。アメリカのように周囲の人間と気まずくなっても気軽に他所に移れる社会でもないからね。
NOV1975 匿名, web そうだよ!僕はずっとそう言っているのに実名派の人から実世界も含めた包括的な実現案が出てきたためしがないんだよ。じゃあ現状維持で良いじゃんと思いますよ。

はてなブックマーク - Slow Jamz - 匿名禁止以前に、実現させる方法を考えた方がいい

id:welldefinedさんのコメントを残したのは、僕の主張はまず、そこをクリアしないと欧米とは比較しても意味無いよ、というところにあるからです。それについては、以下のエントリをはじめとして、随所で触れています
実名とトレーサビリティーは直交する概念である - novtan別館
で、小倉先生の共通ID構想についてはえっけん氏の小倉弁護士の「共通IDシステム」をテキトーに考えた:ekkenでの主張が現時点では現実的な話なんじゃないかな、というところだと思っています。ただ、僕自身は発言に対しての同一人物性の確保ではなく、法に抵触するような場合のトレースの容易性をもう少し高めても良いんじゃないかなあとは思っています。そういう意味での共通IDは必要かと思いますが、そのIDの運用は、今のIPアドレスとアクセス記録を使ったトレースの運用(つまり、プロバイダや警察などの手を介す必要性)と同じようにすべきで、共通IDのみから一般の人が個人情報を容易に検索可能である必要はないと思います。
ネットで、誹謗中傷や詐欺の問題が現実社会よりおきやすい、と言うのは確かにその匿名性が原因かも知れません。で、現実の「実名で生活しているじゃないか」というロジックをネットに持ち込もうとすることが多いのですが、その一方で、そういった主張をする人の手によって、ネットの平和な利用と、現実の匿名的活動(わざわざ名前を名乗らない活動・買い物とか公共交通機関の利用とか)との対照は行われないことが多いです。もちろん、実名を晒す(会社の公開された役員名簿とか)ことによる現実での危険においても、それほど多くない的な言及で終わってしまっています。ネットという仕組みで匿名の場合に誹謗中傷が増えるんなら、実名の場合に誘拐やストーキングが増えないとどうして言えるのか、という点においても実名主義者の方が「自分は大丈夫だから」以外の根拠を示してくれたのを見たことは無いですね。
つまり、まだまだ議論の余地がありすぎるほどある話であり、外堀も内堀も何にも埋まっていないのですから、原則論以外のべき論は説得力を持ちえてないのだと思います。