お気楽批判の続き

別に人生掛かっているわけではないのでお気楽にもなろうものですが、それでもいくつかある人生の楽しみとして駄文を書く身としては、その場を奪われる可能性は少しでも減らしておきたいものです。そんなわけで、応答に対する検証として続き。
以降、福田::漂泊言論 - FC2 BLOG パスワード認証より、先のエントリ(福田::漂泊言論 - FC2 BLOG パスワード認証)への疑問とその回答の一部(A.以下)を引用

(1)「匿名の暴力に対して社会全体がもううんざりしている」という現実が本当にあるとは思えない。アンケート調査でも取ったのか。
A.実際のところ殆どの人が「ネット上の暴言被害をなくしたい(あるいは、ない方がよい)」と考えているわけですから(松岡さんも例に漏れず)、表現のニュアンスの問題はあまり重要だとは思えませんがいかがでしょうか。

そこはニュアンスが重要なところです。僕らは(と勝手に代表してしまいますが)、一部で暴言などがあり、それはなくす方向に持っていきたいと考えてはいますが、僕たち自身がそういったうんざり感を覚えることはほとんどありません。つまり、社会全体が匿名に対してうんざり感をもっているとは思っていません。だから、その一部の悪い匿名のために匿名全体を犠牲にすることに対する社会的コンセンサスなど無いと思っています。僕らはその「悪い匿名」を何とかしたいと思っていてはいますが、その手段としての「匿名でいること自体をNGとする」と言うものは本当に社会全体がうんざりしていない限りは選択肢にあがらない、と言っているのですね。だからニュアンスが重要。

(2)防ぐべきは暴力の方であって匿名じゃないわけだから、「匿名」と「悪意の攻撃者」を切り離して議論を進めるべきだ(「実名」の中にも「悪意の攻撃者」が存在し得るわけだから「匿名」だけを問題にするのはおかしい)。
A.したがって匿名全般を対象にする必要があるわけで、「匿名」と「悪意の攻撃者」とを切り離してしまうと事後救済という側面を見失うことになってしまいます。

これは確かにそういう側面はあります。成りすましの問題など、解決しなければならない技術的問題が解決すれば選択肢にはなりえるでしょう。ただ、「実名の〜」の論点については、「どうせ実名でも攻撃する人がいるんだから、共通IDにしたって攻撃する人はいるし、解決しないんじゃ?」という思いがあるのでこういう話になります。まあでも匿名とトレーサビリティーを両立させる何かはあっていいとは思っているのですね、個人的には。

(3)共通ID構想を有効に機能させるにはインターネット全体に導入しないと全く意味が無い。
A.そんなことはありません。前回のエントリでも書きましたが、そもそも完全無欠な策などありませんから、完全無欠ではないからと言って「全く意味が無い」などとは言えないでしょう。少なくとも国内のサービスには適用できるわけですから効果は十分にあります

まあ、全くとは言えないでしょうね。確実にハードルが高くはなります。ただ、僕には、匿名で言葉の暴力を振るうのは一部の人で、その一部の人はそう言った労力を厭わないんじゃないか、という予感があります。

(4)小倉さんの案は危険すぎる。穴がある。その穴にネット初心者がボロボロ落ちていく未来が見える。
A.とりわけ共通ID構想におけるアーキテクチャに限って「成りすまし」や「漏洩」が生じやすいなどということは決してありません。小倉さんへの反論者は共通ID構想ならではの危険性というものを実はこれまで殆ど提示できていなかったりします。

どちらかというと共通IDの話というよりは実名にすべき、って話のほうを対象にしていると思うのですが、それはそれとして、「ならでは」の危険性を提示する必要は無く、一般的な危険性によって十分ダメ出しされ得ます。別に特殊な指摘をする必要も無いですよね。

(5)韓国では大して誹謗中傷が減らなかったという結果があるから、実名登録制度はあまり役に立たなさそう。
A.「減っていなかった」という情報は今のところ耳(目)にしていないのですが、どこかにソースがあるのでしょうか。

共通IDでの攻撃で自殺に追い込まれたアイドルがいましたね。これに関しては先の僕のエントリでも触れましたが、度を越えると実名にならざるを得ないとも思うし、お隣の動向や、結果を含めて見守りたいとことです。

あとは個別の人に宛てたものみたいなのでとりあえずは触れないことにしておきます。