違法ダウンロード、させろ〜〜

パブコメを出したみなさま、お疲れさまでした。しかしながら、努力の甲斐なく、とりあえず小委員会の結論ではダウンロード違法化の方向性は不可避と見られています。さすが民主主義の国。

文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の第15回会合が12月18日に開かれ、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」)からのダウンロード」を、著作権法30条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった

私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」不可避に - ITmedia NEWS

まとまってねー。強引にそういう方向に持っていっただけでしょう。あの大量のパブコメはどこに?

ただ「ユーザーの意見を無視したわけではない。ネットからの意見も踏まえたつもりだ」と強調。「違法化について、個人から多数の反対意見が出た。『違法サイトと知らずにダウンロードしてしまった場合、無意識に法を犯してしまうのでは』などといった不安は、十分理解できる。ユーザーの不利益にならないような制度設計をする」と話す。

私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」不可避に - ITmedia NEWS

消費者が「法を犯してしまうという不安」を取り除けばこの制度はまかり通る、と考えていると言うことですね。ユーザーの不利益にならないような制度設計をしたら、ダウンロード違法化なんて設計できるわけがない気もするのですが。

また法執行の面でも、ユーザーの一方的な不利益にはなりにくいと説く。「仮に、権利者が違法サイトからダウンロードしたユーザーに対して民事訴訟をするとしても、立証責任は権利者側にあり、権利者は実務上、利用者に警告した上で、それでも違法行為が続けば法的措置に踏み切ることになる。ユーザーが著しく不安定な立場に置かれる、ということはない」

私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」不可避に - ITmedia NEWS

文化庁が保証してくれるんですよね、これ。できないことは言わないでね。
さて、今回の本質的な問題は、「違法アップロード」を送信可能化権で摘発できるというのに、何故ダウンロードまで規制しなければならないか、というあたりにあると思うのですが、正直なところ、対症療法としては強力なんだろうなあと。当然、副作用も強力です。アップロードの違法であるかの判断については、当然アップロードしている人がそれを知りえるところから始まりますから、言い逃れは不可能。情を知ってなんて話も通用しません。
ところが、ダウンロードは落としてみるまでわからんわけですよ。ここのグレーゾーンがどう運用されるか、明確に見えない。上記引用部だって「そうなればいいなー、でもならなかったらごめんねー」って言っているようにしか思えません。思えませんとも。
適法サイトと言う考え方も、じゃあ適法サイトでないサイトは全部違法サイトか、と言う問題があります。完全に運用の問題なんだけど、じゃあ誰が運用するのか。業界でお金出し合ってやるのか。税金使ったり天下りしたら許しませんからね。
さて、実際にこのように改正の方向で固まるとすると、適法じゃないもの(違法とは限らない)をダウンロードするための手段と言うのは十分に提供されえるものなのでしょうか。もし、そうでなかったとしたら、消費者というより、インターネットユーザーとしての権利を損なわれないために「違法ダウンロードの合法化」を叫ばざるを得なくなります。違法なものひっくるめて。だって分けられないじゃない。
今見えている構図は権利者vs消費者(利用者)なのかもしれませんが、実際には消費者ではない(ネットの)利用者がいて、その人たちの権利を制限しようとしている行為である、というところも見ていかなければなりません。私的録音補償金をHDDに課そうとした際の権利団体の認識。自分たちが使えるメディアはすべからく権利の対象とすべし、という考え方こそがフリーライドであって、また、違法ダウンロードがあくまで個々人の問題なのに対して、補償金の問題は何の問題もないユーザーを泥棒扱いする考え方ではあります。現実解として全否定できるようなものではありませんが、根本的解決でもなく。少なくとも、文化そのものが税金で守られることまでは許容できても、市場を守ることは必要ないでしょう。