隣の家の少女 / ジャック ケッチャム

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

心がすさんでいるとき、毒を持って毒を制す的な気分で読んで見ようと思ったのは、スゴ本の人(http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/)が長らく劇薬小説のNo.1に挙げていたからということもあるし、スティーブン・キングが絶賛しているということもあったからなんだけれども。


…これはいかん。「読むレイプ」とは良く言ったものだ。
少年の歯車のかみ合わなくなった日常。見ることしかできず、とめることの出来ない光景。いや、そればかりか、参加をも夢想してしまう、そう、見ることによって少年と読者は同じ体験をし、同じ苦しみを味わう。その無力と羨みを感じ取ってしまった瞬間、読者も共犯であり、最後の行為に対して快哉を叫びながらも後ろめたさまでも追体験する。そこにあるのはカタルシスではなく、後悔。
こんな不快な小説を読んではならないと思う。もし、貴方が自分の中に潜む生の悪と正義を見出したくないのであれば。