抑止力のために犠牲になるもの

携帯からなので後で引用するけど小倉先生が「誹謗中傷等の抑止力を「ネットの実名化」は相当程度もっていると想定されます」という結論のエントリを書かれています。
今までの実名匿名論において、その点は認められた上で誹謗中傷をしない人の実名ではかえって他人に迷惑な話も「ネットの実名化」で抑圧されるからトレードオフの問題、事件に際してはトレーサビリティが十分な現状では実名化のデメリットの方が大きすぎるのでは、ということは僕を含む何人もの人が言い続けてきたことです。
他人に迷惑ってのは、公共良俗に反しているって意味ではないですよ。自分の身の回りの話を実名ですると、登場人物は十分類推可能ですが、自分自身の話以外の部分では責任をもって話すことはできないし、単なる一時的感情が風評になることもあるし、他いろいろ。
だから、現状では実名化は誹謗中傷に対するアドホックな対応ですらなく、デメリットと相殺して安易に導入されえるものではありません。
あくまで現状ですが、実名化はネット制限論であり、小倉先生のたとえでいうと、ハサミの機内持ち込み制限ではなく、ハサミを日常的に使用許可が必要なものにすべきという話というレベル感です。