携帯コンテンツ業界は官製不況だなんて甘え

というか、突然の話ではない。2006年末に民主党から法案が出たり、着々と社会問題視されてきたのに、(スローモーとした態度を示していた総務省も悪いとはいえ)、それほど急な問題ではない。むしろ、手をこまねいていたという感じで稼ぎに走っている状態自体が問題だったはずだ。

健全と言われる日記やブログ、掲示板などでも、誹謗中傷やいじめ、不適切な出会いなどが起きているためだ。これらのリスクを完全に排除しようとすると、広範囲にアクセスを制限するしかない。ブログなどの書き込みを1つずつ監視する行為は検閲に当たるために、携帯キャリアはサイトの良し悪しを個別に判断することを避け、「疑わしき分野」全体を制限対象とする基準を設定した。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080131/146046/

このフィルタリングが妥当とは思わないけれども、今ここにある問題をとりあえず排除するのにはそれなりに有効であろう。
前にも述べたことがあるけれども、携帯のブログやSNSに出てくる広告はどうも筋が悪い。有料コンテンツへ誘導するようなものばかりだ。ビジネスモデルに連鎖的なお金の問題が絡んでいるようではなかなか本腰を入れて話す気にもならないんじゃないかとは思うけど、その結果が「突然」のフィルタリングであることを思えば、ビジネスの戦略を誤っただけのことであり、官製不況というような大層なものではない。
例えば、従来のコンテンツがレーティングされ、子供には売らないよ、子供は入れないよ、って言うのはあくまで実態が見えているから可能であり、親も家で一緒に見るんなら、とか、一緒に映画館に入るなら、という条件で認めることが出来るわけだけれども、携帯のコンテンツも同様にレーティングできるか、というとまあ勝手サイトの存在をシャットアウトしないと出来そうにない。だから、難しい問題であるのはわかるんだけど、先のコンテンツの例で言えば、親はお金ではなくコンテンツを与えているわけで、もちろん、現実にはレーティングがないものをお小遣いで買ったりするわけだから、そこのメタファーとしての「健全なコンテンツ」も当然あるけれども、現状では制御不能であるわけで。
ただ、少なくとも、子供からお金を集めないと不況になるような構造であれば、2年くらい叫ばれてきたリスクに対してもっと真剣に取り組んで(公式サイトになるとか)いけば避けられたかも知れない事態を官製不況と言ってしまうのは今まで容認されてきたことへの甘えに過ぎないと思う。