「事実ではない」と「真実だと証明されない」の違いと名誉毀損

名誉毀損罪は、事実か否かに関わらず適用されます。これ間違って覚えている人は注意ね。バカにバカと言ったら免責されるわけではなく、名誉毀損は成立します。もっとも、裁判に訴えたときにバカである真実性が認められると認定されてもしらんけど。
で、じゃあ、どういうときに免責されるのか、というと、真実かつ公益性が認められるときだけです。民事で名誉毀損の有無を争うときも原則その基準が使用されますね。
さて、JASRACの暗部を暴いたとされる記事が名誉毀損とされた事件(「JASRACが横暴な取り立て」は「真実との証明なし」 ダイヤモンド社に賠償命令 - ITmedia NEWS)は、何が問題だったかというと、真実性について証明されなかったこと。別に事実かどうかを裁判所が決めるわけではありませんが、相応の証拠がなかったということでしょう。でも「横暴な取立て」「不明瞭」「あいまい」というのは今までの色々な話からすると…。
津田さんがつぶやいていた「相手から名誉毀損で来られた場合(ジャーナリズムが被告に立った場合の)真実の証明って難しい」(http://twitter.com/tsuda/statuses/708271972)ってのもありますが、この辺の告発ってのは嫌がらせなのか、悪を暴こうとしているのか、客観的に見極めが付かないことが多いわけです。名誉毀損ってのは便利だね。個人と法人で、告発事例と棄却事例のまとめなんかがあったらどういう使い方をされているか一目瞭然な気がする。

しかし、名誉毀損で訴えられちゃって負けた後に、真実性が証明されたら遡って名誉の回復とかがなされたりするのかしら。刑事裁判になったら前科が付くわけだし。そういう話ってあまり聞かないね。どうなんだろう。民事の損害賠償とかは返してもらえないのかな?