君のためなら千回でも / カーレド・ホッセイニ

君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫)

君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫)

君のためなら千回でも(下巻) (ハヤカワepi文庫)

君のためなら千回でも(下巻) (ハヤカワepi文庫)

スゴ本の人(http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/)が2007年のベストにあげていたので年末に買ってみたのですよ。普段はこういうの読まないんだけど…
アフガニスタンソ連の侵攻でどう変わってしまったか、というのは主題の一つなんだけど、もちろん人には色々いて、それを利用して立場を変えた人もたくさんいるんだろう。でも、総じて人の価値が下落した、というのが実際のところなのだろう。
主人公とその親友の別れと哀しい再会、贖罪の物語、と言ってしまったら簡単すぎる。国を追われること。友を失うこと。何も出来ない自分を嫌悪すること。それを転化すること。幼少時の主人公の描写に込められた思いがうねるように物語を包み込んでいて、そして、放出される。そこに救いはない。しかし、光明は差している。そういう物語。
しかし、原題(カイト・ランナー)の方がテーマの重要な部分を示しているような気がする。文庫化にあたって改題されたものも、重要なセリフなんだけれども、タイトルにするには直接的過ぎないかな。