所属先に抗議が行くことは極めて正しい

誰かが前に、ウェブ(だけじゃないけど)の名前とは属性であり、属性とは所属である、というようなことを言っていたけれども、そのとおりで、実名で活動することと属性が結びついてしまうということは、所属を背負っているのと半ば等しい。そして、現実での発言が大抵実生活のテリトリーに波及するのと同様、ウェブで所属を明らかにした発現は、所属先に波及するのが自然な流れである。もちろん、匿名であれば、取り立てて犯罪ではない酷い発言が所属先に波及することは大抵防げる。これを卑怯と見るか、自らの責任を取れる範囲での活動とするかは意見の分かれるところであろう。僕は匿名という立場を後者と取るがゆえに、積極的には名前を明らかにはしていない。
漫画的に良くありがちな、電車内等で非マナーな奴を半ば罵倒気味に諭し、時に叩きのめした後訪問した先の偉いさんとしてその人が出てくるようなシチュエーション。さて、これは罵倒したことが仕事に波及するかどうか。当然、する。人vs人である限り、ビジネスとそうでないものの割り切りはそう簡単ではない。似たようなものだ。
ただし、匿名での抗議を所属先が受け入れる必要もこれっぽっちもない。いや、実名だからといっても。不適切なことを書いていた事実がその所属先にとって相応しいかどうかのみが判断基準になる。抗議は単なる事実の伝達手段でしかないのであるから、それをもって圧力とするのは事実誤認である。メーカーだとして、不買運動に発展するような事態になるのであれば、それは相応の理由がある。匿名のブロガーの煽動能力などタカが知れている。今は。
言論の自由などと大仰な言葉を持ち出すまでもない。言うまでもなく、言論は自由であり、言論そのものの封殺などされてはいない。言論に相応しい結果が引き起こされただけに過ぎず何も侵害されてなどいない。もちろん、准教授は属性を離れたところで自由に発言できる。立場によって発言が左右されるのはある種の契約であり、これもまた当然のことだ。言論の自由を成り立たせる節度とはそういうものである。