IE7がすぐに保証できない理由

先に保証しません、は建前 - novtan別館で言及した方が、興味深い話を。こういうやりとりっていいなあ。

日本のインターネット人口が1,000万人を突破したのは98年2月で、それが急激に伸びたのは2000〜2001年頃だとインターネット白書には書いてあります。このことから推定すると、日本において、インターネットが(一般の人にも)普及しはじめたのは、だいたい、2001年以降だということになるのではないかと思います。
2001年というと、IE6、Windows XPが公開された年ですね。
つまり、商用ベースではなく、個人ベースを考えると、Window XP、そして、それに(違法に)バンドルされたIE6が、日本のユーザーのインターネットの普及とともに存在したネット用のデバイスだったということができるのではないかと思います。

http://browserjs.blog102.fc2.com/blog-entry-670.html

そう、その通りだと思う。それ以前はネットスケープもまだまだ現役で、みんな「複数ブラウザ対応めんどくせー」と言っていたわけですね。コマース系のサイトが一番困ったと思う。フォーム一つとっても挙動違いすぎる。でも、ショッピングサイトみたいなマーケティングにとって重要なサイトは頑張るし、銀行みたいなセキュリティー第一、ヘルプデスクが混乱しないよう一律の動作をさせるのが第二、みたいなところにとって見ればIE6の存在はありがたいわけです。いや、僕が某システムを作っていたときはまだWin2000も元気で、高度暗号化モジュールの為にSP2だか4だか以降は必須だったけど、IE5.5の動作保証はしていました。IE6で取った全画面のスクリーンショットと、IE5.5でとったそれが今もどこかに残っているはず。このときは、そういうタイミングだったのですね。
さて、IE7というかVista。そもそもまともに動かないモジュールがあって、自分達ではいかんともし難かったりして。セキュリティーを高めるのはいいけど、もうちょっと技術プレビューをちゃんとやらせてくれと。
んでもって、例えば銀行システムだと、動作確認だけではなくモジュールに手が入っちゃうと、まあ、小さいところはそうでもないんだけど、大きいところは開発〜テストでどんなに時間を短縮しても、テスト完了からリリース協議、決済後の手続きとリリース作業、と考えると、まあ、最速で2ヶ月、開発の予算が下りるまでに事前調査、予備検討結果報告、案件稟議等々が入ってきますから、とってもじゃないけどすぐには対応できません。予算がなかったり、開発要員が他に優先すべき事項に取られていると動き出しすらしません。ま、そんなわけで、いつまでも無視することはできないのでやりたい気持ちはあっても、なかなか出来なかったりします。下手するとIE6が使えなくなって大部分の客に迷惑をかける羽目にもなるし、慎重ですよその辺は。

極端な話、例えば、このまま放っておいて、どこかみたいに常時ActiveXオンでなければ、ブラウジングもままならないというのでは非常に困るわけです(セキュリティー的な意味で)。何故に、IEとともに心中をしなければならないのか。頼んでもないのに。それを避けているのに。
だから、保証してください。

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セキュリティー系モジュールを動かすためにはActiveXを動かさなきゃならなかったりで結構面倒なんですよね。署名済みしか動かないようにしておけばよいとはいえ。セキュリティー的な意味ではスクリプト系全部切ったら逆に生身になっちゃうという部分もあって、なんともかんともな部分があるのがウェブシステムの弱点ではありますね。
保証はするんだけど、タイムラグはどうしても生じます。最新のものを使う人たちが保守王国お役所・銀行と親和性が低いのはある意味必然かも知れません。
ちなみに、今はわかりませんが、昔は証券会社なんかはシステムのせいで大きな損害が出ても「いいよ俺らがディールで取り戻すから」みたいにスルーされ、その分最新のアイディアや技術をとにかく最速で実装することに血道を上げていたみたいです。もっとも、ネット証券的な、お客さんに直接見える部分ではそれはNGでしょうけどね。