世間の常識はウェブの非常識?

小倉先生が、こんなことをおっしゃっています。でもちょっと誤読というか、批判に都合のいい受け取り方をしていると思うので反論しておきます。

組織に嫌がらせをすることによってその言動者に思い懲罰を課すように仕向けることを肯定し

発言者が氏名と肩書きを名乗るのって現実社会では常識なのですが: la_causette

僕は、一貫して嫌がらせや懲罰要求について肯定したことはありません。しかし、現実として嫌がらせや懲罰要求が発生するのはなぜか、と考えたときに、発言の責任範囲をちゃんと定めていないことが一つの要因であるとの結論に達しているからこのようなことを書いています。

ウェブでの発言は世間に対する発信であり、そこに肩書きがあれば世間がみるのは肩書きです。そして、それを利用して価値ある言論をしよう、あるいは暴言の抑止効果を得よう、という発想は間違いではありませんが、実名の強要は所属組織に迷惑をかけることへの回避策を奪います。意図的なものは防げるかもしれませんが、

実名言論の限界 - novtan別館

というか、小倉先生の引いたこのエントリは嫌がらせや懲罰要求など一言も書いてないんですよね。抗議とは書いたけど。

池田先生のご発言を「上武大学教授の発言だから」信用できるとか,mohnoさんの発言を「マイクロソフト(株)の従業員の発言だから」信用できるという人なんていないのではないですかね。ガ島の藤代さんにしたって,雑種路線の楠さんにしたって,所属組織の信頼性とは全く別個の信頼性を勝ち得ているではないですか。

発言者が氏名と肩書きを名乗るのって現実社会では常識なのですが: la_causette

じゃあ実名だから信用が置ける、ということもありませんから、実名で書く意味は問題が発生したときの責任の所在を明らかにすることぐらいしか役に立ちませんね…ってあれ?じゃあ所属は関係ないですね。ブログサービスやWhoisにちゃんと連絡先を通達しておけば匿名でもなんら問題ありませんよね。なんとなく匿名擁護論にも見えなくありません…そうじゃないよね…

書籍を執筆したり,雑誌に原稿を載せてもらったり,テレビのインタビューに応じたりする場合,通常は,実名と肩書きを明らかにすることが求められます。求められます,というより,そのようなものを載せることは当然の前提として,どのような肩書きを載せるかの確認をされるというのが実態です。

発言者が氏名と肩書きを名乗るのって現実社会では常識なのですが: la_causette

その結果として、目線とボイスチェンジャーということもよくあります。

それ故,多くの組織では,その構成員なり従業員なりが,私的に書籍を発行したりインタビューに応じたりすることについて,事前の承諾を要求していなかったりします。

発言者が氏名と肩書きを名乗るのって現実社会では常識なのですが: la_causette

後になって怒られることはよくありますよね。
何度も言うように、このあたりの問題は白黒はっきりする類のものではありません。だから、小倉先生の言わんとしていることもよくわかるし、肯定できる部分はたくさんあります。組織に対して過剰な要求をすることは誤ったやり方だと思います。正直、僕のエントリの主旨を曲げている、また、「常識」としてしまった部分を除いて叩かれるような言論ではありません。
僕は世間で行われているような抗議などの行為が発生するメカニズムに対して、どうにか出来そうな部分と別のものを守るためには仕方がない部分があると思っています。単に原則論ではなく、いい方向へのソフトランディングを目指すべきであるという立場から、書いていきたいと思います。