「俺がおかしいと思っている意見だからコメントスクラムだ」

ということですね。わかります。

医療系ブロガーさんたちはしばしば,保険医療制度が崩壊しても困るのは患者たちであって,医師は困らないみたいな捨て台詞を吐きます。まあ,確かに患者は困るとは思いますが,医師も困るのではないかという気がします。

健康保険制度が崩壊して困るのは患者のみか,医師も困るのか。: la_causette

弁護士の数を増やすことに対してはみんなの理解が得られないと散々嘆いていたわりに、専門外の分野はその筋の専門家が訴えることを容易に否定することができるんですね。
これは医者は認識が間違っている、ということが大前提の批判です。もちろんその可能性はないとはいいませんが、散々「医者が足りない」と訴えられているお医者様方の今までの議論を内容についてきちんと反論するでもなく、印象論で切り捨てて批判する、というのはどうにも違和感があります。

健康保険制度が崩壊するということは,健康保険制度が存在したとするならば存在していたであろう「需要」が消失するということになります。その場合,健康保険制度の存在を前提として現在ある医療システムは,供給過多の状態に追い込まれることになり,結果的に医師の所得水準の低下を招くことになります。

健康保険制度が崩壊して困るのは患者のみか,医師も困るのか。: la_causette

保険が存続しててもどんどん診療報酬を下げられていると言う現状があり、また過労死寸前、逃散多発という状況で所得水準の低下なんてぬるいことを言って問題にしている医療系ブロガーの人はあまりいないように思えます。

これは,逆に言えば,国民皆保険のような制度があり,国民が弁護士に支払うべき報酬等の一部が保険から支払われる制度のもとであれば存在した「需要」が,そのような制度がないが為に消失しているということになります。

健康保険制度が崩壊して困るのは患者のみか,医師も困るのか。: la_causette

病気でもないのに病院に集うジジババ(これは自己負担の引き上げの原因ですよね)なんかはそうかもしれませんが、あとの今、医者に負荷をかけている需要は元々大したお金になっていませんよ。診療報酬がどんどん抑制されている現状では。モンスターペイシェントの問題が解決して生活に余裕が出来る方が医者としてはよいんじゃないでしょうか。救急もやらなくて済むし、後期高齢者制度の問題などおきず、金がなければのたれ死ぬだけです。
結果として、アメリカのように金持ち(といっても今の日本では結構な割合にあたる階層)は民間保険に入って医療を受けられ、そうでない人は医療費が払えずのたれ死ぬ。アメリカの医療が商売として成り立っているところを見ると結果としてあぶれてしまうような医者が出るにしても、医療業界自体は崩壊するとは思えません。
こんな話は医療系ブロガーさんたちの書かれていることをウォッチしていれば(それが正しいとすれば)読み取れることで、実際に困るのは医者ではない我々の側(もちろん、医者も患者の立場に立ったときは同様に)が困る話だ、という風に思えるかと。もちろん、それが間違っているかもしれず、実際に医療系ブログの中でも数字や展望についての反論が大量にあって、ある程度の論拠での議論が行われています。
まあ、弁護士をやたらと増やして起きることが競争過多報酬減によって優秀な人材が弁護士になるモチベーションを下げる、という程度の問題であることに比べればだいぶ深刻な話には違いないようです。
医療系ブロガーで実名活動をしている人が怪しい療法の宣伝であることが多いのに対して匿名のブロガーさんの方が制度や事件について述べていると言う個人的な感触がありますが、まさか匿名ブロガー憎しで言っているわけじゃないですよね。id:Yosyan先生とかid:DrPooh先生とかid:NATROM先生とか(その他お見かけする様々な先生方)が弁護士に「捨て台詞をはく」ようなレッテルを貼られる筋合いは内容に思えます。