三菱東京UFJの障害についての日経コンピューターの記事

読んできました。(記事が言うところの)事実関係あたりをざっくりと。いくつか僕の推測での補完が入っています。

  • セブン銀行には旧UFJは直結、旧東京三菱はCAFIS経由
  • 新システムでは直結にする(CAFIS経由だと振込等できず旧UFJ口座の移行後サービスダウンになってしまうから)
  • 5月の作業ではまだ直結しない
  • しかし、直結バージョンのメッセージ出力ロジックをリリース

ということみたいです。余計にわけわからん。ま、単なるデグレではなく、リリース時期の管理ができてなかったと言うことか。そりゃあテストしてもわからないよね。将来形でテストしているだろうから。
ちなみに、CAFISってのはクレジットカード決済のシステムで、J-DEBITとかもそこを経由してたりします。特定の口座からのお金の引き出ししか出来ない。だから、直結のシステムとは出来ることが大きく異なります。
なんでこんな変なことになっているのか。Wikipediaの記載を見てみましょう。

セブン銀行は2001年6月13日より都市銀行キャッシュサービス(BANCS)による払戻の取扱を開始し、同年11月5日からは都銀キャッシュサービスに直接接続。同サービスによる振込を提供開始した。個別提携先以外の都銀各行キャッシュカードには、他の都銀同様払戻・振込・残高照会が提供されたが、これはセブン銀行自身の業務であった。
これらの都銀と同社が個別提携を結んだ場合、利用者へのサービスは「セブン銀行自身の業務として提供するもの」から「提携に基づきセブン銀行ATMを当該銀行の出張所として利用させるもの」へと切り替わり、提供内容は当該提携先銀行が定めるものとなる。
ただ、セブン銀行のATMサービス展開後に個別提携を開始した東京三菱銀行(当時、現在は三菱東京UFJ銀行において旧東京三菱店の口座)・みずほ銀行の2行は、個別提携の際に「振込」の取扱を取り止め、以後セブン銀行ATMでの振込は利用できなくなっていた。
BANCS加盟全行と個別提携が開始された2006年7月現在、BANCS加盟銀行のうち上記2行と三井住友銀行セブン銀行ATMでは振込の提供を行っていないため、一般のBANCS提携サービスにかかわらず当該キャッシュカードでの振込を利用できない。
なお、BANCS接続のシティバンク銀行の口座についても同様に振込を利用できない。

セブン銀行 - Wikipedia

セブン銀行が設立時に協力したのは旧UFJなので、旧UFJは直結のシステムで結構密接なわけです。三菱東京UFJの新システムは旧東京三菱側なので、24時間テレビ窓口なども含め、旧UFJのサービスで、新システムにも残すべきと判断されたものは新システム側に新しく実装しているわけですね。
というわけで、移行は結構複雑なことになっています。
今回の障害がこの記事どおりであったとしたら、まだまだ謎は多い。開発手順は問題なかったけれど、バージョン管理ができていなかったと言うのもあるけど、移行方針とかどのタイミングで何を移行しなきゃならないかのスケジュールがきちんと伝達できていない可能性もあります。今回の印字部分みたいな話だと、ちゃんと話が伝わってなかったか、誰か特定の個人の思い込みであるのかな。特に後者の場合、ちょっと防ぐのは難しいと思います。
こういったシステム移行はやったことがない人が想像するよりもはるかに難しいことです。移行本番と全く同じリハーサルを行えればよいのですが、それは不可能。なぜなら対外システムはそこまで協力してくれないから。テストシステムの日付一つとってもすり合わせは大変なのです。かたや3年前の日付を使っていて、かたや2年後の日付しかも後ろに戻せない、とかはざらです。
モジュールの機能一個一個を管理することも大変です。こういうのは全体の視点ではなく、個別のシステム・チームの中でかっちりと管理されていかなければなりません。でも、人間の、そしてチームの質にはばらつきが出るのである程度出てしまうのは仕方がない。
単純なデグレでなかったことにちょっとホッとしていたりします。少なくとも、前の記事で心配したほどには大きな問題ではなさそう。
でも、これ自体はかなりの問題です。未だバージョン管理の問題であることは確かだし、何がいつどこでリリースされるべきか、その「理由」がちゃんと伝わってないことが原因なのであれば相当問題。ただ、特定の個人の問題にも見えるなあ。
障害の原因で一番良くあるのは「思い込み」です。果たして原因はそれだったのかどうか。