「バカ」はどういう罵倒語か

ハゲがダメでバカがいいのはおかしいとおっしゃる方もいらっしゃいますが、まあ、人それぞれなのは否定できず、だからといって「人それぞれだから俺がいいって言ったらいいよね〜」なんて言っていたら世の中罵倒語だらけになるようなならないような。ある程度社会的コンセンサスのある「アレはダメ、これはよい」というのはあると思うし、そこでやたらと個人主義を発揮することで「あの人ちょっとずれているよね」といわれる事に対して「人それぞれなんだからいいだろ!(怒)」とやってみると、そのこと自体が他人の「人それぞれ」を容認していないことを体現していてなかなか興味深い(悪文)。

それはさておき、僕も「バカ」を使うことがそれなりにあり、出来るだけ文脈情報が付随し、独立した形にならないようには気をつけていますが、「バカ」って必ずしも相手のバカを指摘する言葉ではないよね。馬鹿の基準ってのが明確にあるのかわからないけど、「あたまがわるい」ことそのものを指すんではなくて、「なんで[俺の/私の]言っていることをわかってくれないの!」みたいな表現であることが多くない?あるいは、危険な行動をとったことに対して「バカ!なにやってるの!」っていうのも「わからない」ことに主軸が置かれていて、結構な場合において、知能の低さではなく、学習しようとしない態度を表わしていることが多いのではないでしょうか。
気のフれちゃった人を「アホの〜」とすることはあるけど、それはそれ。バカアホの使い方は結構幅広くて、みんなが容認しようとしている「バカ」がどのレベルのものであるかを明らかにしないとハゲと比べることはし辛い。特定の用途が極端に差別的だから言葉自体を使わないように、というのは僕には言葉狩りに思える。もちろん、ハゲも事実を示す言葉として、また、罵倒語でない形での使い方もあるだろうから、その点については容認せざるを得ないけど。
「お前も分からない奴だなこのハゲ」
「ハゲてねーっつーの」
とやると爆笑問題みたいだ。この場合のハゲのニュアンスはバカの一般的な罵倒語としての用途に近いな。