インターネットはクラサバか?

池田先生も必ずしも間違いを言っているわけじゃないんだけど、使っている言葉の意味合いが全然違うんだと思うんだ。

クライアント・サーバー(以下C-S)システムは「LANとはまるで異なる」ものではなく、ほとんどすべてのLANはイーサネットというC-Sシステムである。彼はこれを「第3次オンライン」と対比しているが、これはLANではなくメインフレームバッチ処理システムの発展形だ。メインフレームの特徴は、ホスト機にすべての情報が集中し、ユーザーは入出力の機能しかないダム端末を使うことだ。これに対して、イーサネットではクライアントが情報処理を行い、サーバはそれをサポートする。つまり「LANとC-Sが違う」のではなく「メインフレームとC-Sが違う」のである。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3a9bc2fd7bac203d70a12268755cdbc7

この記述自体はそれほどおかしくはない。けれども、ネットワークの層とアプリケーションの層がごっちゃになっている。確かに「単なるLAN」とクラサバを比較するのは変だけど、それは比較する層が違うからだと思う。
メインフレームとC-Sが違う」ってのも、そういう意味では「ホストシステムとC-Sが違う」といわないとおかしい。メインフレームはあくまでハードウェアの形態の話であるからね。でもって、「イーサネットではクライアントが情報処理を行い、サーバはそれをサポートする」は「C-Sでは」が正しい。イーサネットはあくまでパケットを使ったLANの実装の話であり、アプリケーションには踏み込まないから。大体、イーサネットなんてたまたま勝ち組になって普及したけどつい最近までIBMの社内LANの物理層/データリンク層トークンリングじゃなかった?8年前くらいはそうだったと思うんだけど。
インターネットがクラサバ、といったそういう点で、LANと比較しているのはやっぱりおかしいから、いずれにしても間違いを指摘したくなるのはもっともなんだけど、ちょっと池田先生の観点は違うんじゃないかな。

クライアント・サーバー(以下C-S)システムは「LANとはまるで異なる」ものではなく、ほとんどすべてのLANはイーサネットというC-Sシステムである。彼はこれを「第3次オンライン」と対比しているが、これはLANではなくメインフレームバッチ処理システムの発展形だ。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3a9bc2fd7bac203d70a12268755cdbc7

バッチではなくてオンラインだよね。ああ、もっとも某国産メインフレームではオンラインはバッチ処理の延長線だったような気がしなくもないけど…どうだっけ?
全体的な話の流れ自体はそれほどおかしくないのですよね。ホスト型オンラインは、処理をホストに一極集中して、それを通信と表示と入力の機能しかないダム端末で操作するもの。それをC-S型に出来たのは、端末側の処理能力が上がってきて、入力チェックとか、クライアント側にある情報だけでの計算とかは出来るようになってきたから。それによって、サーバー側のダウンサイジングが可能になった。このことにホスト依存型プロトコルであるSNAとかFNAとかではない、TCP/IPなどの普及が一躍買っているのは間違いない。
さて、インターネットはクラサバだ、という遠藤氏の主張は正しいか。遠藤氏のニュアンスは、明らかに「Webやその他のインターネット上のアプリケーション」を意味しているだろう。確かにそういう概念に当てはめると正しいと思う。でも池田先生が否定しているのはネットワーク層の話であって、アプリケーション層の話じゃないから、その点では正しい。ただ、遠藤氏の主張の意味合いから言うと意味を成さない指摘でもある。
曖昧な言葉を使うほうもあれだけど、技術的な用語についての様々なツッコミを入れるためには、様々な層での言葉の使い方を正確に把握しておかないとうまくいかないのです。このエントリにしても間違っているかも知れないよ。読者諸氏は注意してね。