フルバンオタが非オタの彼女にフルバン世界を軽く紹介するための10枚
まあ、どのくらいの数のフルバンオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないフルバンの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、フルバンのことを紹介するために聞かせるべき10枚を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にフルバンを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う3枚組みBOXセットや北欧系などは避けたい。できれば、一曲5分、長くても15分にとどめたい。
あと、いくらフルバン的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
映画好きが『グレンミラー物語』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
フルバン知識はいわゆる「スイングガールズ」的なものを除けば、熱帯ジャズ楽団程度は聴いている
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
THE BASIE BIG BAND
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「ネスティコ以前」を濃縮しきっていて、「ネスティコ以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。一曲あたり短いし。
ただ、ここでピッチの悪さ弁解トーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
- アーティスト: Count Basie
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Music for Large & Small Ensembles / Kenny Wheeler、Berlin Contemporary Jazz Orcherstra
アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうなフルバン(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「フルバンとしてはこの二つは“現代音楽”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
Music for Large & Small Ensembles
- アーティスト: Kenny Wheeler
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- 発売日: 2000/08/15
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- アーティスト: Berlin Contemporary Jazz Orch
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20 Years at the Village Vanguard / The Mel Lewis Orchastra
ある種のコンテンポラリー系フルバンオタが持ってるNewYorkへの憧憬と、Bob Brookmeyer監修のクオーターノートへのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもMel Lewisな
「童貞的なださカッコよさ」を体現するRalph Lalama
「童貞的に好みなサックス」を体現するJoe Lovano
の二人をはじめとして、オタ好きのするプレイヤーを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
20 Years at the Village Vanguard
- アーティスト: Mel Lewis
- 出版社/メーカー: Atlantic
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インサイツ / Toshiko Akiyoshi=Lew Tabackin Big Band
たぶんこれを聴いた彼女は「マンデイ満ちるだよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の楽曲がその後続いていないこと、これがアメリカでは大人気になったこと、アメリカならRemixされて、それが日本に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、日本国内でこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
アニジャズ first note / 東京ブラススタイル
「やっぱりフルバンは子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「SWING GIRLS LIVE !!」
でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかけるブラスタの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも11曲、っていう曲数が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。曲数の多さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが角田や内堀だったらきっちり8曲にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて11曲を作ってしまう、というあたり、どうしても「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえブラスタがそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
- アーティスト: SWING GIRLS
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極東組曲 / Duke Ellington Orchestra
今の若年層でエリントン聴いたことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
サドメルよりも前の段階で、エリントンの哲学とかハーモニー技法とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの作品がフルバンでこの時代に演奏されていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくフルバン好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆるオールドスタイルなスウィング曲でしかエリントンを知らない彼女には聴かせてあげたいなと思う。
- アーティスト: デューク・エリントン,クーティ・ウィリアムス,マーサー・エリントン,バスター・クーパー,ジョニー・ホッジス,ポール・ゴンザルヴェス,ハリー・カーネイ,ジョン・ラム,ルーファス・ジョーンズ
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East Coast Blow Out / Jim McNeely
マクニーリーの「変」あるいは「音づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらない変拍子を毎日生きる」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそフルバン版変態リズムセクション曲の最後はジョンスコソロ以外ではあり得なかったとも思う。
「ファンク化したジャズを生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の源はEast Coast Blow Outのジョンスコにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
- アーティスト: Jim Mcneely
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Orchestre National De Jazz/A Plus Tard
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうフランスのコンテンポラリー精神みたいなのをこういうかたちでフルバン化して、それが非オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
Conquistador / Maynard Ferguson
9枚まではあっさり決まったんだけど10枚目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にファーガソンを選んだ。
ベイシーから始まってファーガソンで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、Cat Anderson以降のハイノート時代の先駆けとなったプレイヤーでもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
- アーティスト: メイナード・ファーガソン
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「駄目だこの増田は。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい