なるほど、こういえばよいのか

クライアントを煙に巻かなければならない仕事をしているみなさんこんにちは。本日は上手な煙の巻き方、実践編をお送りします。

筆者:「要は比表面積を高めてエネルギー密度を上げるというアプローチですよね?」
G社:「問題は釜の電気代がいくらかかるかによるんです」

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20090605/171328/?P=2

何を聞かれているのかさっぱりわからない場合は、このように本題に関係しているものの質問とはまったく関係ないモノに問題をすり替えるのが最適です。相手の質問に直接答えるなどは愚の骨頂です。

筆者:「それだけじゃ発電量は足りないのでは」
G社:「5時間で350whだから全然足りない。そのため,ちょっとした工夫をしている。場合によっては太陽電池は不要かもしれない」

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都合の悪い点は完全に否定すると疑惑を招かれます。なので、問題を認めつつ、それを解決する手段を持っていることを匂わせることが必要です。あくまで匂わせる、ですよ。そのものずばりを言ってしまうとうそをついてしまうことになりかねません

筆者:「その場合どこから給電するんですか?」
G社:「例えばスターリングエンジン燃料電池など。ま,いろいろです。全部セットで100万円を切らないと」

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いろいろな手段をもっていることのアピールも大事です。現実的に利用可能なものかどうかは関係ありません。とにかくいろいろな種類を並び立てることが大事です。ここでのポイントは、方法ではなくて価格の問題であることに話題をすり替えることですね。

筆者:「燃料電池だけでも普通はもっと高いと思いますが」
G社:「我々の燃料電池は100万円を切っている。もう少し先の話だけど」

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おっと、価格の問題に突っ込まれてしまいました。しかしここでの切り返しポイントは今開発中であることを逆手に取った将来形の提示です。もう少しが100年先でも嘘ではありません!もしかしたら5年後には超絶円高になって今の100万円が実質500万くらいの価値を持ちえるかも?

筆者:「一般家庭の消費電力量は1日10〜15kwh程度なので,1kWhの"W"では全く足りませんが…」
G社:「少なくとも3kWが一つの目安だけど,常時発電していればいいんでしょ。太陽光なり燃料電池なりで」

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あ、あの、えーと、そうですよ!発電すればいいのですよ!

筆者:「あくまで発電装置とセットで販売するということですか?」
G社:「そうです,そうです」

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顧客が勝手に提案してくれるときにすかさず相槌を打つのがよいのです。こっちはなんだかわからなくても相手が勝手に納得してくれます。

筆者:「"W"の定格出力は?」
G社:「100V,最大10Aです。200Vの出力にも切り替えられる。インバータを内蔵しており交流出力も可能です。肝心なのは,買電せずに済むように電気を蓄えるという点です。常時3kWh使っているとするとですよ,本当に蓄電するには3kWhかける24倍(24時間ということらしい)なんです」

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電力と電力量は記述が似ているからごまかしやすいですね。混同を狙って適当にまくし立てるのがポイントです。肝心という言葉で話題をそらすことも重要ですね。

筆者:「そもそも,スターリング・エンジンや燃料電池ならコンスタントに発電できるのでキャパシタは要らないのでは?」
G社:「いや,そんなことはない。それは作り方,方式の問題です。スターリング・エンジンは暖めながら回転するので,いつどのタイミングで熱くするかを細かく制御しないと安定しないが,そんなことしていたら役にたたない。慣性で回っている力を利用しないと」

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方式の欠陥を指摘して、それを補完するために必要だという完璧な論理です!やった!
あれ、でも燃料電池の件には答えてませんよね。そう、実用的なものとまだそこまで達していないものが選択肢にあるときは恣意的にダメなほうのダメさ加減を指摘することがポイントなのですね。わざわざ不完全なものを使わなければならないという意識を持たせるテクニック、最高です。
そんなこんなで煙に巻ければきっと大量に出資者をゲットすることが出来るでしょう。

もし騙されないような人が居たら…

ただ,先のブログ公開の翌日か翌々日だったかに,自宅マンションのポストに投函されていたいくつかの郵便物の封が,手で破られていたのにはちょっとビビりましたが…。まあ,これはただの偶然でしょう。

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実力行使というのも大事な一手ですね。