お化けはなぜいなくなったか

これも重要な指摘。

本来は、こういった研究は代替医療を推進したい人たちがやるべきだが(鍼治療についてはあったような気がする)、自分たちの行う治療が「おまじない」ではなく、実際に効能があると信じている人は、なかなか「おまじない」と割り切った上での効果を測定しようとしない。その点においては、『民間療法チームからみれば「公平」じゃない』とは言えない。民間療法チームの多くは、実際に効能があると主張しているのだ。二重盲検法で効く効かないを判定されても文句は言えない。

非盲検の無作為化比較試験で優位性が仮に証明されたとして、それだけで鍼治療やホメオパシーが医療の現場で勧められるべきではない。特に日本では、現代医学否定とホメオパシーは強く結びつけられているので、公的にホメオパシーを認めるのにはリスクがある。また、医療者が「おまじない」を患者に知らせず使うことは患者の自己決定権の侵害になりかねないし、そもそも誠実な医師患者関係に差し障る。かと言って患者に知らせると「おまじない」の効果が落ちる可能性があるというジレンマもある。ただし、yonemitsuさんは、別にホメオパシーや鍼治療を薦めているわけではなく、二重盲検法という「おまじない」の効果を除外した方法論だけで民間療法の効果を判定するのは公正なのか、と疑念を呈しているだけである。その疑念は正当であると私は考える。

2010-09-09

ホメオパシーや他の代替医療が現代の医療と共存することはなかなか難しいことがわかる。そもそも、おまじないってあんまり根拠(っぽい説明)を気にするような類のものではないはずなんだけど、ホメオパシーくらいになると、もっともらしい説明そのものがおまじないであるってものだからね。
現代のような情報伝達力の高まりの中で、おまじないがおまじないのまま生き残ることは難しい。標準医療にかかるコストってのは、われわれがいろんなことを知ってしまったことの代償でもあるし、引き換えにして得たものは大きいはずなんだけどね。