「鵜呑みにしてはいけない」の欺瞞

だいたい、トンデモやニセ科学界隈で「鵜呑みにしてはいけない」と発せられるときは、既存の常識を否定し、デタラメな情報を「鵜呑みに」させようとするときに使われることが多い。
なぜだか、既存の正しいとされることは「鵜呑みにしてはいけない」という口が信用足らない情報を鵜呑みにすることを推奨するのだ。受け取る側は、知っていることを否定されたことで真実の目が開かれたような気分になってしまい、新しい(実際にはデタラメな)情報を受け取ることが、既存の情報を鵜呑みにしていない、という「事実」を補強する。のだけど、実際に必要なのは、判断に足る情報を集めて自分で考える、というプロセスが完全に省略されていて、鵜呑みにしているわけだ。つまり、「鵜呑みにしていない自分」を発見するために、その理由として新しい情報を真実として受け入れる、というずるをしている。
とまあ、そんな風に誘導されると騙されたのを認めたくない心理からも、強く真実だと思い込むことになってしまいかねない。かくして陰謀論者は生まれ、真実を疑うことを強く主張しながらも、明らかに疑わしいことを真実だと主張するようになってしまうのだ。

ほんと、「鵜呑みにしてはいけない」よ。