ステマやヤラセ口コミはそんなに悪いのか

消費者庁まで出張ってきた食べログやらせ問題だけど、そもそもやらせがなかったら食べログは正しいわけ?
ステマややらせが批判されるのは「仁義にもとる」以上の何物でもないと思うけれども(つまり倫理の問題)、この程度のやらせなんていままで散々テレビや雑誌でみんなが体験してきたことじゃない。ラーメン本なんて「なんであそこが載ってるの?」のオンパレード。
美味しい美味しくないなんて個人の主観でしかないし、誰かが美味しいって言っているだけで美味しく感じちゃったりするいい加減なものだから、そもそもそういうのを参考にしようとする時点でかなりバイアスかかってるわけだ。だから、ね。

モノが売れるためにはいろんな要素があって、必ずしも良いものが売れるとは限らないし、悪いものが売れないとも限らない。

  • 良いけれども認知度が低くて売れない
  • 悪いけれども認知度が高くて売れる

なんてことはしょっちゅうだし、前者を世に出すためにがんばってマーケティングしている人もいるよね。例えば、テレビで紹介してもらう。その時「今一部で話題の」なんて嘘は当然つく。
倫理的な枠で捉えたらステマやヤラセは確かにアウトなんだけど、良ければ客がつくし、悪ければいずれ廃れる、と思いたい。景品不当表示法がどうのと言っている大臣は見当違いだと思う。そういうレベル感で対処した所でやり口が高度化するだけでは。

食べログにおいてやらせによる操作が可能なのは、食べログ自身の問題ではない。もっとも、サイトの性質上の根本的問題とは言えると思うけれども。ただ、こういう操作が横行すると食べログ自身の存在意義が問われてしまう。そういう意味で、食べログ自身が危機感を感じて対処をするのは誠実だとは思う。一方で、やらせとは言えない書き込みだって真実性は保証されない。業者を使わなくたってやらせはある。虚実入り混じったところから真実を抽出することなんてできやしない。あくまで参考にする程度のものであり、結局のところ評価は自分(あるいは内輪)でするしかない。

食べログで高評価だったから行ったらイマイチでがっかり」という体験が起きるのはしょうがない。「食べログで高評価だったから行ったらやっぱり美味しかった(ような気がする)」というのはハッピーじゃないですか。それだと一体何を食べているんだかわからない気もするけど…

ステマのせいで売れた」とか「やらせのせいで繁盛している」ってのを批判するってのは消費者としては敗北だ。マーケティングってのはあくまで認知させるための行為であって、最後の選択は消費者に委ねられている。自分に理解出来ないシロモノが売れているのが「マーケティングに踊らされているバカ」の問題なのか、「その商品の価値を理解出来ない自分」の問題なのか、どっちか判断できますか?