ロジカルシンキング…だと…?

まあこれを見てくれ。
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これでロジカルに答えを導き出せるのはエスパーですね…しかし、めげてはいけません…考えてみよう。
(1)価格は、A社のものはB社に比べ1万円安く、C社のものはB社に比べ2万円高い。
→出来れば後々のためにも価格の絶対値で比較したいものです。ここではA社:90000、B社:100000、C社:110000と仮定してみますか。
(2)故障のリスクはA社製が最も高い。
→ちょ、ちょっと待って…「最も」高いってことはB社とC社には差があるんですかないんですか?そもそも「最も高い」なのがA>>>>>BCなのかA>BCなのかわからないと費用対効果での評価ができません…購入するのが1台なのか1万台なのかでも話が違いますよね…
(3)性能が我が社の作業に適しているのは、A社とB社のものである。
→これは定性的な話だからそれならそうと考えざるを得ない
(4)待機電力消費率はA社、C社が高く、B社は低い。
→ちょっと待ってください。待機電力は耐用年数に対していくら差が出るんでしょうか。そもそも業務で使うパソコンの待機時間は見積もってますか?それよりも通常業務で使用する際の消費電力量が知りたいお…
(5)デザインや軽さの面でいえば、A社が最もよいが、実務には関係がない。
→まあこれもそうだ、っていうだけの前提なんでそれでいいです…
(6)仕事上、取引があるのはB社とC社で、A社はない。
→価格交渉の釣り球にするならともかく、そうでないならこの判断基準はそこに事務のコストが発生するか否かってところですね。
さて、これをロジカルシンキングするとこういう表になるようです。

うむ。○と◎と☓ってのはインパクトのある表ですね。△はないのか…。で、ここでロジカルに考えます。これを定量的な評価にするためには、まず明らかに指標として数字が見える「価格」の差異がどれだけの効果があるかを他の評価軸と比較するための検討をしなければなりませんね。
前提条件を満たさないから問題外(表に乗っている事自体疑問というと云い過ぎか)として、AとBの差は1万円という価格差。これが故障のリスクに見合うかどうか、待機時の消費電力の差に見合うかを考えてみれば良いわけです。待機電力を3W(結構多め)と見積もって1年間待機し続けた場合だいたい600円。塵も積もれば山となるとはいえ、そもそも待機じゃない時間が多いことを考えると1台あたりの価格差を跳ね返す評価基準には成り得ないようですね。
すると、もうひとつは故障のリスク。2009年の調査によると、3年以内の故障率1位25%〜9位15%ということで結構差があります。価格の差をここに反映されるためにはちょっと計算してみないといけないですね。A社が25%、B者が15%と仮定、故障=新品購入として極めて単純化(実際の故障率によるリスクの計算はもうちょっと複雑)して計算すると、
100台導入するとして
A社:90,000,000+22,500,000=112,500,000
B社:100,000,000+15,000,000=115,000,000
あれれれ…A社の方がトータル安いですね。全部新品購入としてもこれだけの結果になります。実際には修理・交換(保証の範囲内)にかかるコスト(業務に割かれる時間)の方が問題になりますが、新品購入より高いことはないでしょう。ただ、元々の費用がもっと高いもの(1万円という価格差が比率としては小さい)であるならば、故障率の差がもっと費用の差に出てきますよね。

さて…あなたはこの問に対して正解を出せますか?ここまで述べたとおり、ロジカルに考えるためにはロジックを構築するためのネタが必要なんですが、ネタが全く足りませんよね(というか、評価をするための情報として不足がありすぎますよね)。というわけで、こんな根拠薄弱ではロジカルシンキングなんてできませんよね?

しかし、実は仕事で使うロジカルシンキングは論理的思考のことではなかった!

という記事を昔読んだ

後から理屈を付けるのは、他人と自分自身を説得するためである。「俺のひらめきを信じろ」と言っても誰も相手にしてくれない。言っている本人も自信が持てないだろう。説得できるようにするために論理を組み立てるのである。ここでロジカルシンキングを使う。つまりロジカルシンキングとは、論理的な考え方ではなく、論理的な説明の仕方を指す。
〜中略〜
「この事業は業績が下がっているので、撤退すべきだ」と「この事業は業績が下がっているので、てこ入れをすべきだ」という主張はどちらも論理的だが、同じ根拠から別の結論を導いている。どちらに納得してもらえるかは相手次第である。言い換えると論理の外側で決まる。この状態を「根拠不足」という人もいるが、根拠を挙げ尽くすことはできない。この例なら撤退基準があればよいように思えるが、なぜその基準でよいのか、なぜそれを適用してよいのか、と根拠の根拠を追求していくと、どこかで客観的な根拠はなくなり、主観的な判断に行き着く。

ロジカルシンキングとは考え方にあらず | 日経 xTECH(クロステック)

今回の例であれば、それを評価軸にしたのはなぜか、というところが主観にあたりますね。先の記事の模範解答をみてみましょう。

購入すべきはB社製であると考えます。理由は3つです。
1つめは、性能面です。我が社の実務に適した仕様であり、故障が少ないこと。
2つめは、コスト面です。価格も3社のなかでは平均的で、待機電力も低く抑えられること。
3つめは、我が社の取引先でもあること。
 よって、B社のものを購入すべきと考えます。

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ううむ…確かに論としては成り立っていますが…
ここで問題なのは、根拠としてまだ客観的な根拠を導入できる評価軸であるのに根拠を追求していないことですね。実際には「ロジカルシンキング(どやっ」で結論を出すのは無理な設定じゃないですか。論理的な説明の仕方と考えたとしても、「説得できるような論理」になっていない(なぜなら前提が曖昧すぎるからツッコミに耐えうるロジックが構築できない)。

とはいえ、5分で考えて30秒で上司に報告、と。僕ならどうするかな。所詮パソコンなんて消耗品だし待機電力は大して問題にならないし取引先かどうかで物品購入の手続きがそんなに大きく変わるわけないし…どうせなら軽くてカッコいいのがいいよね(主観による決め手)「安くて前提スペック満たしているからA社にしましょう!」(全部で10秒)
うん、1行で言い尽くした。