就職活動中のみなさんに送るシステムインテグレーター入門(その2)

さて、今回は、SIerの主戦場である、企業システムとは何かについてまた簡単に説明してみることにします。

基幹系システムとは

企業システムにも色々な種類があります。まず、基幹系システムというものについて。
基幹系システムというのは、その企業が活動する(つまり、企業として価値を生み出す)ために必要な業務を遂行するために必要なシステムです。
銀行であれば、勘定系システム(後述します)、製造であれば、生産管理システムや、工場の自動化ライン、流通であれば、販売・在庫管理システム。先に例にあげた楽天だったらきっと楽天市場サイトのシステム。
そういうものが基幹系システムとなります。適用範囲を広く考えると、例えば企業内で導入されているビジネスフォンや、インターネットLANだって基幹システムの一つといっていいかもしれません。

一般に、基幹系システムそのものは企業で働く皆さんに直接目に触れるものではないので、イメージしづらいかと思います。
例えば、銀行の勘定系システムはどういうことをしているのか。銀行は皆さんの手元にある通帳と同じ内容が記載されている元帳というものをもっていて、昔はそれに手書きで書き込んで、現金の持ち高とあわせて間違いないよねって言う確認をしていたわけですね。もう今就職活動しているみなさんは、銀行員さんがうちまで積み立てのお金を取りに来ていた時代を知らないと思いますけど、システム化されていなかった昔は現金を計算するのも、誰がいくらどこに預けたかを記帳するのも、人の仕事だったわけです。
ところが、これだと元帳をもっているお店でしか確認が出来ません。そこで、電話で別の支店に確認したり、振り出した伝票を元帳のあるお店に移送するなどの事務作業が発生していました(今でもこの名残的な事務があるおかげで本支店間振込手数料とか発生していますよね)。でも、元帳が電子データになったおかげで、各お店の端末から元帳を見ることが可能になったわけです。
てな感じで、人の手でやったら大変だったり出来なかったことをシステムに置き換えた結果、とても便利で効率よくなりました。その反面、事業を継続するにおいてそのシステムはなくてはならない(捨てることが出来ない)ものにもなっています。そういえば、10ヶ月ほど前、大変な事件が起きましたが、銀行なんかはシステム化をしたのが早かった反面、作ってしまったものをなかなか捨てられない(置き換えられないことで)禍根を残している部分が多々ありますね。

閑話休題。まあ、そういうわけで、企業の大事な業務システムとして、基幹系システムは存在します。もはや、基幹系システムが業務プロセスそのものだ、といっていい企業だってあります。こういった業務は日々改善、効率化、競争力アップを求められています。企業としては、一旦システム化してしまえばその後は知らんぷりできるものではありません。こういったお客さんの悩みを解消すべく、よりよいシステムを提案、作成していくのがSIerの大事なお仕事です。

その他のシステム

企業においては、業務を遂行するための基幹系システム以外にも、いろいろなシステムがあります。例えば

  • 財務会計システム … 社員のお給料や税金、日々のお金の管理を行う
  • 情報系システム … 基幹系システムやその他のシステムから集まってきた情報を分析し、経営戦略に役立てる

などなどです。基幹システムはまだ企業の業務に関わる部分ですから、その企業が一般消費者向けのサービスを提供している場合は目に触れることがあるかと思いますが、これらのシステムはなかなか目に触れる機会がありませんね。でも、これからホットになるのは一通り構築が終わった基幹系システム(もちろん、こちらも果てる事なき戦いの場ですけれども)ではなく、インターネットの発達によって日々爆発的に増え続けるデータを活用していくための情報系システムかもしれません(もはやそれは基幹系システムといっていいかもしれませんが)。


一口に、企業システムといっても色々なシステムがあります。そして、SIerには会社毎に得意とする分野があります(もちろんマルチな会社もあります)。
曰く、うちは金融が得意だ、曰く、うちは流通なら任せておけ、などなど。今の時点で、自分が携わりたいシステムのイメージが出来ている人なんてなかなか居ないと思いますが、自分のやりたいことと入りたい会社のイメージが一致していることは結構大事です。銀行やりたい(なんて奇特な人居るかな?)のに流通ばっかり顧客に居る会社に入る意味はあるのか、ということですね。

会社選びのためには、自分がどのような企業システムを作りたいのか、それが実現できる会社はどのなのか、を考えてみるのが大切かもしれません。

まともなSIerのホームページには主要取引先・顧客が載っています。そこを見てイメージしてみるのもいいかと思います。

(続く)