デバイスに囚われてるから「タブレット後進国日本」とか言っちゃうんだよね

日本でタブレットPCの普及率が諸外国に比べて低いことは果たして問題なんだろうかという問題。
バイスは何のためにあるのか。一昔前であればそこで実行できるアプリのためだった。いまだにゲーム専用機にはそういう匂いがある。でも、今やデバイスはサービスを受けるための手段であり、そのサービスは(固有アプリで隠蔽されていることがあるかもしれないが)ウェブサービスであり、どこでも何からでも使える、というのが重要な特徴だよね。
であるならば、タブレットPCという特定のデバイスにこだわる必要はまったくない。むしろ、サービスを受益するために必要な「入力」を考えると日本語入力においてはキーボードのある通常のノートPC(日本市場は世界でも稀に見る小型ノートPCの市場だろう)や、携帯(ガラケーは言うに及ばず、スマホにおいても)で十分。自宅のPC普及率は高く、家ではPCで快適に、外ではスマホで小さく軽く、でよいことになる。ウェブサービスの受益者層のスマホ所持率は高い。そして、それ以外のガラケー所持者が大きな変革から取り残されているというわけでもない。何しろ大抵のウェブサービスは使えちゃったりするもんね。

なので、この人も大事なところを捕らえかけているのに、肝心なところで間違えちゃっている気がする。

成長戦略というなら、もうハードでは勝負にならないぐらい惨敗してしまい、あとは残る本命のコンテンツ、またアプリケーションで追いつき、追い越せということが素直に導かれると思うのですが

気がつくとタブレットPC後進国になってしまった日本

仰々しいタイトルをつけている割には、着目しているのがサービスではなく、コンテンツ・アプリケーション。しかも電子書籍タブレットPCは時代の変革者じゃなくて、単なる電子書籍再生デバイスだった!
そりゃそうだ。Kindleなんてまさにそれで、Kindleが普及した=タブレットPCこそがユビキタス社会を実現する!…なんてなるわけないよね。
電子書籍なんて、IT社会が実現するサービスの中ではもっともレガシーで、もっとも権利に縛られているもの。タブレットPCを買う動機にするには十分な魅力のあるものではありますが、それによって世界が変わる類のものではないし、それで世界を制覇すると日本の産業全体が盛り上がるものでもありません。
それでも、モバイルデバイスの入り口として、高性能なモバイル端末を持たない層がタブレットPCを購入する、というのはありかと思います。日本ではそのような層の人口が少ない(ウェブのサービスを受益したい人は高性能デバイスを既に所持している人が多い)から、タブレットPCが欲しい!っていう人中心のマーケットになってしまっています。
タブレットPC自体の活用方法は、個人に限らなければたくさんあると思います。でもそれって、今までもタッチパネルで実現してたこと。安くて標準的I/Fをもつことにより、それまでよりも楽にそういうタッチパネル端末の設置が出来るようになった、ということに過ぎない部分があります。

タブレットPCは安価な入り口として今後も重要なものであり続けると思うけど、一方でウルトラブックが盛り上がっていることでわかるように、世界にはちゃんとこの先もノートPCのマーケットが存在します。タブレットPCを問題にするのであれば、ウルトラブックでも日本がなんか出遅れてるっぽいことも問題にしなきゃならないし、コンテンツの話をするのであれば、電子書籍をそのメインにすえても意味がない。

産業のサービス化、サービス産業の生産性を高めるという先進国の共通した課題は、「自助」だけでやれということで、それならそれでいいとは思いますが、農村、製造業に偏った政策に税金をつぎ込み沈没することだけは御免被りたいものです。

気がつくとタブレットPC後進国になってしまった日本

googlefacebookが政府の助成で産まれたわけじゃない以上、日本の競争力が足りないのは政府がお金を出さないからじゃないよね。製造業なんて、韓国とまでは行かないけれども、もうちょっと国の戦略としてなんとかしたほうがいいんじゃないの?