情報化と電算化ってなんか違うの?

韓国はIT化が進み過ぎるほど進んでしまっている部分があって、特に電子政府というところではお手本みたいな形になっている、というのは衆目の一致するところかと思います。何をどこまでどういう形でIT化するかっていうのはそうはいっても個別の課題であり、状況に応じて正解も変わるというものなのでみんな同じところを目指す必要は実はないのかなとも思っています。

さて、昨日話題になったこの記事。困ったことに話の例に上がった韓国版新幹線KTXに改札が無い話はちょっと筋が悪くて、自動改札がダメ過ぎて使い物にならなくなった次善の策として改札をなくしたという経緯があるんですよね。おかげで話の主張したいところを見ずに非難轟々的な状況…

とはいえ、こういう結果オーライというのも世の中を改革するのに必要なこととは思うんですよね。日本では最初に決めた要件を守ることに固執し過ぎて本質的に不要な物とか、変革すべきものが途中で見えてもそのまま当初の予定を崩さないってことが結構あるように思えます。巨大システムを開発していると組織(と金の)都合上、ウォーターフォールでやらざるを得ないことがあって、3年前の思想をあーあとか思いながらテストするというのは日常茶飯事なんですけどね。

で、その記事に興味深い言葉が。

ITコンバージェンスを考えるうえで、「電算化」と「情報化」を一緒にして考えてしまっている人が非常に多いのですが、これはまったく別のものです。

 電算化は、人間が行っていた単純反復的な作業をコンピュータに置き換えるだけです。日本ではまだこちらの発想が多い。一方、情報化は、一度既存の仕組みをゼロにして、枠組みから新たに考えなおすものです。最初にご紹介した、改札のないKTXがこれにあたります。

改札を機械化する日本、改札をなくす韓国――情報化の本質とは何か|廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか|ダイヤモンド・オンライン

うーん、言葉の定義上そういうニュアンスを含んでいるかというとちょっと違うと思うんですよね。ここで説明されている電算化って機械化と同じ意味に見えますが、企業システムの電算化というのは単純反復的な作業を機械に任せ、そこから得られる新たな情報を経営に活かしましょう、というのが目的ですから、単に効率化だけのことを指しているわけではないはず。
一方で、ここでいう情報化というのは業務プロセスの改善であり、情報化技術の発展に伴い改善できるポイントが増えてきたのでできることやろうぜ、という話にすぎなくて、情報化という言葉がプロセスの改善まで含んでいるとは到底思えないわけです。

表面的な多少のコスト削減に惑わされるのではなく、業務全体を変えることによってサービスを良くし、業務効率を上げてコストも下げる。これが真の情報化なのです。消費者側もそれに早く気付き、「わがまま」になって、真の情報化を求めていくことが必要でしょう。

改札を機械化する日本、改札をなくす韓国――情報化の本質とは何か|廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか|ダイヤモンド・オンライン

繰り返しになりますが、業務プロセスをITシステムによって改善していくことを情報化と呼ぶのは本質を見失うのではないかと思います。ITはあくまでツールであって、それだけに依拠して業務プロセスを見直すことは本末転倒です。
改札の例で言うと、完全に管理された改札システムであれば、社内で検札する車掌は要りません。しかし、車掌を廃止してしまうと社内でのトラブルに対応できる人がいなくなりますよね。コストセンターはどこで、それをなくしたらどのような影響があって、結果としてどういう風に改善すべきか、それによって顧客にどのようなサービスが提供できるのか、ということをきちんと考えることが重要であって、その結果日本では自動改札が高度に発展した、という結論でもよいわけです。

結論:真の情報化言いたかっただけちゃうんかと小一時間問い詰めるべき。