May_Romaさんの痛烈な批判からSI業界を学ぶ

僕もかれこれ十年以上、この業界にいて、それなりに問題点についてはお伝えすることもあったと思います。
たとえばこれ→SI業界を目指す君達へ贈る「何故システム開発はテンパるのか」 - novtan別館

ただ、それはSIerだけが悪いわけではなくて、ユーザーも含め、ITとは何かということについての意識がうまく転換できなかったことに根本的な問題があると思っています。ITは何をするためのものなのか。SIerが従来作ってきたシステムは、従来のやり方で問題なかったし、まだそういうITの世界は暫く残ることは残ります。ただ、全体のパイは縮小しているようにも見えますし、生き残りをかけた戦いはそろそろ中盤戦ではあります。

と、前置きをしつつ、本題に。
May_Romaさん連続Tweet:「インフラとかシステムとかの問題ではなく、そもそも仕事のやり方がおかしい。」 - Togetter
ここにまとめられたものから重要そうな言葉をピックアップ!

まず、ここについてはこれだと何のことやらわかりませんですね。具体的にどの会社が保守的と見られていて、実態としてどうなのか。きっとMay_Romaさんは日本でそういう会社を相手に仕事をしたことがあるからそう言っているのかな。
とはいえ、SIerって話でこのような指摘をするのであれば、相手は

くらいしか思いつきません。Unisysとかはどうかな…
ただ、この手のベンダーで少なくとも知識や技術は陳腐化しているのは長年やっているSIの現場くらいです。むしろ、成果物の品質の問題はユーザー側のルールが古色蒼然としたものであることに起因することのほうが多いくらいです。
組織内の競争の話はよーわかりません。成果「物」じゃなくて、「成果」が上になるための要因だと思いますけどね…
で、仕事のやり方は独自、というのがすごい抽象的です。業界の流れってのもすごい抽象的です。仕事のやり方が独自でなかったら会社って一つで良いんじゃ…と思わなくもありませんが、きっとそういうことじゃなくて、もっと本質的な部分のことを言っているんだと思います。でも読み取れません…読み取れないんですよ…
15年遅れっていうのもわからない…15年前のIT業界を考えてみると…うーん、欧米が今の日本と同じレベルだったかということには大いに疑問があります。この15年で進歩してきた幅が違うよ、というのならわかるのですが…
あと、デスマーチの原因は効率が悪いことではありません。これはコンサルやってただけじゃわからないと思うんだけど、この人プロマネとかやったことあるんだっけ…
文書は確かに意味不明な場合が多々ありますね。でも、やっぱり文書っていう大きなくくりだとちょっと具体性に欠けているので何がどの程度ダメなのかとか、外国の文書は何が良いのかがイマイチわかりませんね。外国の文書って…RFCとかは結構読みましたが…あとマニュアルとか…設計書ってのはめったに目にする機会がないですからね…

日本独自ってのもよくわかりませんです。日本独自標準とかあるんだっけ。結構各会社に依存しているような気がしますよ。IBMなんてのはグローバル化のためにドキュメントは標準化されているし、それが他国に出ていく。で、別に技術力が高い人(=頭の良い人)は書き方への適応能力はわりと高いと思ったりそうでもない人がいたり。十把一絡げにみんな首だ、とはならない気がします。ええ、僕は海外企業のことはわかりませんので、事実そうだと言われたらどうしようもないですが。でもさ、海外に出て学ばなきゃならない、でも首だ!ではどうしたらよいと言っているのかわからなかったりもします。

というわけで、成果物みたーい。標準化って一度作ったらそんなに毎回作らなくても大体少しreviseするくらいで通用しそうなものなんだけど、毎回苦労しているのってなんか日本のSIみたいです(コレについては後述あり)。

技術が20年だと…PL/ICOBOLとCでホストとオープンでなんちゃら…いや、確かにそうかも…そういえばこないだNATURALのソースを読まされました。なんでCOBOLっぽいCOBOLじゃない言語とか存在しているのか…JavaC#みたいなものなのか…

という冗談はさておき、技術はそんなに遅れているわけがないです。20年前って言ったらWebシステムだって姿形もない時代ですよ…。プロジェクト管理だって、政府調達系はPMBOK必須だったりしますし、方法論はきちんと学んでいます。ただ、それがきっちり実践できている現場が少なかったり、実践しているもののリソースが見合わないことで破綻していたりはします。でも、それが全てではないですね。ちゃんとしているところはちゃんとしているのですよ。僕個人としては破綻するまでの失敗プロジェクトを担当したことはありませんし、デスマーチを迎えたことなんてありません。運がいいだけですかね。
外国の人ってそんなにみんな優秀なの?デスマーチの本を見るととてもそうとは思えませんというか日本と大して変わらない部分もありますね。

デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか

デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか

この指摘は耳が痛い話しです。もっと言いますとですね…例えば、ユーザー側においては社内規則や社内プロセスにお詳しい方は「まだマシ」な人でありますね。少なくとも、規則に従って、プロセスにそって仕事をやろうとしてくれますから。もっとマシな人は、そのプロセスの問題点をきちんと把握し、改善してくれます。もっとすごい人は、んなもん意味ねーよって言ってベンダーのグローバル・スタンダードなプロセスを適用することを許可してくれますね。
で、僕の知る限り、ベンダー、SIer側で考えると、まあ、ベンダーはまだマシです。技術はちゃんと教育を受けている(これは日本独自とは言いがたいもの)し、専門知識を持ち合わせています。中小SIerとか、某データの人とかは、ちょっと危ない。この人クビになったら勤め先あるんかいな、という人はたくさん見てきました。でも、まあいわゆる何とかの法則で、2割のそうじゃない人がきちんとしたことをやろうとしてくれるおかげで仕事になっている面はありますね。つまり、8割はここの話に該当する人ってことで。

お説ごもっともですけど、さっきも述べた通り、別に日常じゃないですよ、デスマ。病気自慢とかうちの会社ではしませんよ?あ、新型うつの人は自慢してるかも!
なんかこう、よっぽど酷いところでしか日本のIT業界を見て来なかったのでしょうか。
もっとも、無駄な作業に時間をかけすぎているなーと思うこともあります。標準化はするし、ツールも使いますけど!

書き方や用語が独自なことが意味不明になるってのはよくわかりませんですね。独自でもちゃんと書けていれば意味はわかりますよね。わかりにくいってのはそのとおりだと思うけど…あと、ツリーストラクチャーってあんまり文書そのものを対象にしては言わない気がしますが、まあイメージすると、大抵のものはツリーストラクチャーで書かれているような気がしてなりませんが…よっぽど酷いものばかり以下略

例えば、ITILとかかな。ITILベースだと毎回標準化に苦労するのはわかります。テンプレートないからね…ユー・テンプレート作っちゃえYO!みたいな感じなんですけどね。国ごと(あるいは法律の差異ごと)に必要だからしんどいけど
ITILなんてイギリス生まれだし、20年以上前からのものだから、ITIL使ってない=日本遅れてるならまあねえ…

これも多分にユーザー側の問題なんですよね。適用しましょうっていってもコストがーコストがー。というか、ITILって何でもかんでも全部の会社に必要なものでもないような…あるような…きちんとやったことがないのでわかりません!(ぇ

おや…業界は実は関係無かった!日本の教育の問題だった!
でもこれ本当かなあ。元々そうであるならば、マネジメントの手法やら標準やらを策定しなくても自ずから方法論が収斂するような気がしてなりません。そうじゃないからあるんだと思うんだけど。あ、ちょっと言いすぎか。まあ無駄は少ないでしょうね。文書レビューしているともう日本語のレベルで意味分かんないそれ!っていう文書にバツをつけるだけでも結構な時間がかかっています。
えっと、これは技術の問題ではありますよ。文書作成のね。それこそ大学生のレポートをもっときちんとやっつける大学がないとダメなんじゃないかと思います。ええ、僕はだいぶやられましたのでまだ少しはマシだと思いますが。もっとも、仕事の文書以外は駄文を垂れ流すのですけれども…

えっと…そんな感覚一度も持ったことないんですけど…そういう現場があることは否定しませんが、それを原因にしてしまうとそうじゃないことがあることで反証されてしまいます…

これは頭の痛い話ですね…例えば、某赤いメガバンクなんかは、頭取になるにはシステムを経験しなくちゃならなくて、CIOが頭取コースだと聞いたことがあります。でも、その他の…いやなんでもない…
何が言いたいかというと、例外はあります。でも、これは本当に問題。コストの適正さについても数字が検証できない。結果として、どうでもいいところにお金がかかって、かけなきゃいけないところにかけられない(かけさせない)ことが多々あります。会社がデカければデカイほど、システムの担当は「守る」ことに血道を上げますし、新しいことには必ず多少の失敗を伴うんだけど、それを許さない!って言ってしまうと新しいことをやろうとする人は本当にいなくなっちゃう。このことは、日本のITをある意味でリードする金融(特に銀行)業界が金融庁に色々やられちゃった結果起きている話でもあります。

僕ちょっとSI業界全体って何指すのかわかんない…
サービス管理とは別みたいですから、SI業界全体の何がどう話にならないレベルなのかはちょっとわかんない。文書の話?

僕ちょっとWeb系はオープンですからの意味がわかんない…
システム?サービス?アーキテクチャ?企業システム?サービス管理ってシステム単体で適用するものなのかなあ…

いやね、反論したいというわけでもなければお説ごもっともとも思っているんですけど、どうもその、全体ってのが全てって意味になっているのがちょっと気になりましてですね。逆に言うと、海外では全て問題ないってこともないんですよね。だから、日本は、とかSI業界は、とかそういう括りをすることは、傾向論としては正しいんだけど、全否定してしまうとそれはそれでなんだかなあ、という事にもなります。海外にはブラック企業はないのか。まあ欧米で言うと相対的には少ないのでしょうけれども、ワーカーホリックが生息していたり、デスマーチが存在していたり、アップルなんて監禁されるって言うじゃないですか。それはそれで、問題が全くないわけじゃないから標準化なりテンプレートがあるし、それが日々改良されていくわけです。

コードが全てを解決する時代ではないので、こういったことはきちんと考えて行かないと、日本のSI業界は完全に沈没しますね。今どのあたりかというと、タイタニックが氷山に激突したあたり!(駄目じゃん