ウイルスによる冤罪リスク

犯罪者作るに刃物はいらぬ〜PCひとつあればいい〜

捜査関係者によると、ウイルスのファイル名は「iesys.exe」で、遠隔操作で削除することが可能だが、三重では削除前にPCが押収された。府警は、このファイル名を基に、北村さんのPCを約10日間かけて調べ直し、ウイルス感染を確認した。専門家によると、ファイル名が不明なら、削除されたウイルスを検出するのに数年かかることもあるという。

 ある捜査幹部は「三重と大阪のウイルス名が少しでも違っていれば、北村さんのPCからウイルスをすぐに検出できなかっただろう」と話し、三重の事件がなければ北村さんの身柄拘束が続いていたという見方を示した。

PC遠隔操作:三重の感染ウイルス発見は大阪府警−毎日jp(毎日新聞)

数年間身柄拘束ですか〜(違
いやほんと、これ運が良かっただけだよね。もしこの削除前のPCが押収されなかったとしたら、北村さんは冤罪被害者として何年も不利益を被っただろうということになります。
これは結構大変なことですよね。

というのは、この事件が結果としてこういう結末を迎えた時、「そうはいっても逮捕するのは仕方ない」「ウイルスではなかったことを証明しないと逮捕できないのでは取り締まれない」という声が上がりましたよね。僕も、その点についてはしかたがないかなーって思っていました。でも、こうやって明々白々、「身柄拘束が続いていただろう」なんて言われてしまうと、仮にこれで捕まったら犯罪者に仕立て上げられてしまうかもしれない、ということがわかったわけです。自白している人もいたしね。

痴漢冤罪のときも、冤罪被害者が自ら痴漢ができない状況を立証しなければならないとかそういうレベルでかなりの人があきらめざるを得ない状況になりますが、今回なんて「やったという証拠」があるわけだから余計に難しい。ウイルスにかかったという痕跡が全くなくなってしまえば、完全にクロです。客観的に見てクロ。その時間に自宅にいなかったことを証明するくらいしかないけど、遠隔操作プログラムを入れてたりすると更に難しくなったりして…

うん、怖すぎるこれ。

よっぽどPCに詳しい人でない限り、自分がシロだということを立証する術を思いつくことすら難しそう。PC事案が得意の小倉先生におかれましては、仮に三重のPCから検出がされなかった場合のこの冤罪被害者の不利益を最小化するための方策を是非ご教示願いたいものです。

警察がまじめにこれに取り組まなかったら、そのうち「PC管理責任法」なるものができるような気がしてきます。

あと、もはやコンピュータウイルスが犯罪の要件に抵触し始める状況が生じた以上、ウイルス対策を私企業のものとすることについても疑念が湧いて来ました。本当にこのままで良いのか。
企業なんて責任といっても所詮企業利益の中でしか果たせないものですから、国家予算による犯罪者との戦い、という観点で見なおしたほうが良いのではないかなあ。
今までのウイルスでの不利益はプライバシーや金銭の問題だったけど、今や犯罪の片棒を担ぐレベルの話になってしまっていますよね(まあbot netみたいのは前からそうだといえばそうだけど)。
ましてや、自分が主体的に何かをしたのではないのに犯罪者として逮捕されるようでは。手荷物に勝手に覚せい剤投入されたみたいな何かです。

どうにかならないものですかね、これ。