生活保護は増えてるし、もっと大事なのは増やさないための政策

生活保護は増えてないし、もっと大事なことは増えて何が悪い、ということ - 猿虎日記(さるとらにっき)
ここに書かれていることが完全に誤りだとは思わないけど、新聞の誘導性を批判できるかというと、必ずしもそうではないと思う。
例えば、少年犯罪のグラフにしても、戦後ピークから1/4になっているとはいえ、短期的にみて倍増しているのは確か。これがどのような文脈で使われるかによってはトリミングを恣意的と批判するのは必ずしも正しくない。
もちろん、以前は100万倍だったのが2倍になったことをもって激増と言う類は問題外(とも場合によっては言い切れないだろうけど)。
さて、ここでの問題は生活保護。確かに戦後間もない1952年に比べたらだいぶ少ないけどバブル崩壊からこのかた右肩上がりでしかなく、今だ上昇し続ける予想があると言うのは無視してはならない事実だ。
生活保護の増加は失業者の増加あるいは社会参加率の低下のバロメーターでもあるため、戦後間も無くの基準に達していないから増えても問題ないと言うのはいささか暴論に思える。今の生活保護の問題は、不正受給が存在していることが明らかなのに有効な手が打てていない一方で、本来受けられる人が何かと理由をつけて拒否されていると言う事実にある。もっとも、どちらも統計データではないし、続く不況と共に増加傾向が収まらないのはもちろん不正受給ではなく、正しく受給している人が増えている、ということを端的に示しているにすぎない。
財政を圧迫していると言ってもまだまだ他国よりマシという現状により、削減をことさら言いたてるのは僕もナンセンスとは思う。でも、増えても問題ない、といってしまうのはどうかなあ。中には働きたくても職がない人もいるだろうし、そういった人が出来るだけ社会に参加してくれることが働けない人の福祉の充実にもつながる。極端な話、財政が悪化し歳入が減りこれ以上の借金も難しくなると、総支給額が変わらなくても財政に示す割合は激増する。それにより、支給が削減される状況になることを思えば、増えるのは問題ないというのは経済が上向かないといつかはひっくり返ってしまう話だ。
だから、この事実については危機感を持って政策を打ち出して欲しいものだ。もちろん、経済の回復とそれによる雇用促進と言う方面で。
なので、リンク先が批判しているとおり、支給額が増えていることをもって削減を志向する、というのは誤りであり、その点については異論ない。