オフショアと円安

未曾有の円高も、世界経済の回復基調(見せかけにしか見えないけど)と日本の金融緩和への期待で収まってきましたね。でもちょっと巻き戻しが早すぎる気がします。円安になって企業が潤うかというと、大抵の企業はある程度為替予約をしているので、まだしばらく先になるでしょうし、企業業績が上向いて雇用や給与に反映されるまではさらにかかります。その間に円安インフレが起きると庶民は詰むよ?
バラマキでもなんでもいいから財政出勤をしないと単なる円安は更に需要を抑えるだけです。原油が上がりすぎるとシャレになりません。

さて、IT業界でもオフショアが加速してきた昨今ですが、中国リスクや円安によってだんだん美味しくなくなってきた感がありますね。やりとりのオーバーヘッドや品質問題で結果的には高い国内企業の方が安かった、と言うケースも散見されます。人件費も日に日に、と言うのが比喩ではないくらい上がってきています。
大規模になればなるほどメリットがあるように見えるものですが、大規模な開発は整合性をとるのが難しく、軌道修正が効かない丸投げ型開発はリスクが高いです。
それでも、一定規模分「オフショアをやる」事そのものを目標にしている会社がまだまだあるようです。
景気の話に戻ると、この不況下で体力のない会社はだいぶきつくなっています。非効率な低レベルの会社が脱落する分にはいいのですが、優秀な代わりに規模が小さく単価が高い会社に脱落されては困るんですよね。仮に開発がオフショアで良いのであればなおさら体力だけあって中身は屑な会社よりは優秀な人材集団が残って欲しいし、そう言う人を集めて仕事をすると、今やっている絶望的な案件なんかももっともっとまともに動くはずです。プロジェクトがやばくなる要因は数多あれど、結局は人に帰結するんですよ。

というわけで、政府に望みたいのは、例えば法人税減税や雇用助成金を政策として実施して欲しいし、それには国内企業との優先取引枠を作るなりなんなりのバーター条件を課すなどして緩和で出回るキャッシュが国内に還流するようにして欲しいなあという事ですね。
単に円安だとここぞとばかりに金を溜め込んで株主と役員だけに還元されると言う事態が発生しかねません(この10年くらいの継続的な事象です)。
企業の社会的責任、というのはもっと重くみて良いし、その辺りが世界レベルでないのに株主と役員の待遇だけ世界的レベルにせよ、という、誰かだけに都合のいいグローバル化というのも国内の経済低迷の一つの要因ではないかと。円高になるのも宜なるかな