プライバシーを軽視する人々にビッグデータを扱わせてはならない

武雄市長のプライバシーに関する考え方の根幹は「便利ならいいんだよ!」と思っているんですよね。その便利ってのは誰かの利害が絡んでいるように思えてしかたがないのはさておき。
でも、便利で全てが許されるのであれば、高速道路の速度制限はあほらしいし、信号だって左右から車が着ていなければ無視することが合理的です。なんだってそうだけど、問題につながる行為についてはリスクとリターンをきちんと考える必要がありますよね。

なので、こういうお話は大変不安なのであります。例のCCC図書館Tカードの一件にしても、まさに「ビッグデータの活用」という話です。当時の記者会見の個人的な印象から言うと、技術者の人は流石にマズイところがわかっていたのに市長はなんでもOKみたいなニュアンスで物を言うから困っていた。

NRIがペーパーを出しています。
ビッグデータ社会のプライバシー保護
ちょっとした記事ですが、ここに書かれていることは問題の本質を簡潔にまとめていますね。

前からいろんな人が言っているとおりだし、多分高木先生がやったWinnyのノードを収集するアレみたいな手法をWebサイトにおいても複数サイトの情報連携でやったらそれなりにウェブを使うユーザーのプライバシーは筒抜けになる状況に現在でもあると思っています。
ビッグデータの活用は多分に紳士協定的な部分があります。個人情報保護法ではカバーしきれない部分もありますから。技術の進歩によって、従来では不可能だった分析が容易になると、そこには悪い人たちも入ってきます。ましてや、それなりの立場がある人達が率先して問題を起こしてしまうと悪い人たちの行為も正当化されかねません。そういうところには気を使って欲しいと思う次第。

この件についてちょっと救いがあるのは、この後のやり取り。

釣り糸を垂らしてみた感じですね?
武雄市長の事例の餌を付けてみましたね?
見事かわしました。
熊谷市長(というと熊谷市の市長みたいだが千葉市長)の感覚はまだまともなようです。彼の人にブレーキをかけてくれる存在であることを先ずは期待してみましょうか。