「COBOLはユーザーがシステムを作ることの出来る画期的な言語!」から占うForguncyの行く末

どっかで見たことある話

Excelのセルを方眼紙のように使ってレイアウトされた画面をWebアプリケーションのフォームに変換することで、プログラミングをしなくとも業務アプリケーションが生成できる「Forguncy」(フォーガンシー)をグレープシティが発表しました。

Excel方眼紙(ほうがんし)からWebアプリを生成する「Forguncy」(フォーガンシー)、グレープシティが発表。現場の担当者が業務アプリを作る、というトレンドは来るか? - Publickey

ちょっとタイムリーすぎて例の元増田はグレープシティのステマ!とか一瞬思っちゃいました…

でもまあ、Excelで作った業務システムをそのままWeb化!SIer不要!これであなたの会社も一流!みたいなこういう仕組みって今までも沢山出ては消えてきたんですよね。なんでか。それはね、業務システムとは入力フォームのことでも出力帳票のことでも無いからです!

業務システムとはデータモデルである

Forguncyにしても、あくまでこれってユーザーインタフェースが簡単に(かつ今までのExcelと同様の見た目に)できるよって話でね。でも単にデータ入力して帳票作る、というだけであればシステムいらんわけですよ。電子化されたデータを別の用途で使うためにシステム化するわけですよ。もっと言うと、人間がExcelで入力する、という場面は減れば減るほど素晴らしいわけですな。だから、ExcelフォームをWeb化してシステム化!とか言うのはだいぶ詭弁的で、やっぱり後ろにデータストアがあって、そこからのデータI/Fがあるわけです。

システム化の要諦というのは如何にして(そして何のために)データを持つかに尽きます。使う側の問題としてはUIは大きいんですよ。それはよくわかるんです。ただ、UIというのはあくまで業務システムにとってはデータの入り口でしかありません。もちろん、そのデータの入口ってのが一番時間がかかるところなので、ここを改善したりとか、あるいは現状通りの事ができるようにしたりというのは大事なことです。でも、それを目的にしてしまうと、データが大変なことになったりするんですよね。例えば、今まで手で出してた帳票をまとめて夜間に出すようなシステムにしたとして、今までは出した後に間違ってたことに気づいたら手で直して出し直せばいいやみたいなことを出来るようにしてよ〜とか言われて修正できるようなデータ構造にしたりとかね。それを是とするかまで含めてシステム化なわけじゃないですか。

てなことを考えぬいたデータモデルとデータフローを業務のプロでもあってもシステムの素人な人が簡単に作れるわきゃないのです。

ユーザーだけでシステムを作る未来は来るのか

まあシステムって色々考えることありますよね。データモデルが大事って言っても、別に業務が回ればなんでもいいよって会社だってあるわけで、そういう場合は出来合いのパッケージに業務を合わせちゃえばいいんですよね(なんでもいいって言うくせに何故か嫌がる会社が多い気もしますが)。最近は簡単な業務分析までひっくるめて出来る業務パッケージなんてのもありますよね。法定帳票ならいざしらず、入力フォームをExcelのままにしたーいみたいなシステム化は正直考えなおしたほうが良いと思います。
もっと問題なのはインフラで、システム化するからにはコケたら会社がコケるみたいなシステムを作ったらダメなわけで、そうすると相応に信頼性のあるインフラを構築しなきゃなりません。もっとも、このあたりは最近だいぶ業務アプリがセットのクラウドみたいなので出来るようになりましたよね。というかSaaSでいいじゃん的。

ちょっとひっかけ問題的かもしれませんが、ユーザーだけで「システム」を作る未来は全然やってこないと思っています。でもその上で動く「業務アプリ」だけならそれこそ今のExcel的なものを作るだけならいくらでも出来るようになってきていますし、そのへんの役割分担が今までの「全部システム屋が作る」からシフトしていく未来はあるかと思います。

ただ、業務システムにもっとも大事なのはデータをどう活用するかでありますから、そこを無視できない「業務システム」を作るのであれば、やはりシステム屋さんの手を借りるのが賢明だと思います(し、そこをきちんと気にしてくれないシステム屋さんと付き合う必要はそろそろないと思います)。えー別にそんなの必要ないしー、みたいな会社さんは、本当にシステムが必要なのかもう一度考えてみるべきですね。