4月からSIerで社会に飛び込むあなたに

新人社員のみなさま、まずは無事社会人になられたことをお祝い申し上げます。そして、このタイミングで、ともすれば斜陽産業とも言われるSIerに入るということで期待と不安がないまぜになっているのではないかと思います。
SIerというのはエンジニアの自覚を持たずしても生き抜くことが出来てしまう可能性の高い職種です。しかし、10年前ならいざしらず、今この激動の時代において、エンジニアにならずして生き抜くことが可能かどうかはもはや疑問です。
そこで、みなさんにはSIerにいながらにしてエンジニアとして成長するためにいくつかの心構えを与えましょう。

技術力はまず目の前のパソコンから

PCを使い慣れた人にとってはSIerに入って気づくことが一つあります。先輩たちは驚くほどPCのことを知りません。PCに詳しくても業務システムを作れないからです。でも、それって本当にいいんでしょうか。目の前のPCがどう動くかも知らないで大きなシステムを動かすことが本当に出来るんでしょうか。
最近は大抵のことがスマホタブレットで済んでしまうので、PCに詳しくないとか、Macは使えるけどWindowsなんてね…という人もいるかもしれません。でも、PCというのは小さくてもコンピューターです。それがどのように動いているかを知ることは、みなさんがこれから作っていくシステムがどうあるべきかを知る大きな一歩です。

日本語をきちんと書けるようになろう

SIerの仕事はもちろんシステムを作ることです。システムを作るというのはプログラムを作るということとイコールではありません。よく喩えられる建築で言うと、家を建てたい人にプランの説明をし、細かい調整をして、予算が折り合うところできちんとした設計図を書いて実際に家を立てます。プログラムの部分は実際に家を作るところだけです。まず、お客さんときちんとコミュニケーションを取るためには言語能力が大切です。ここは日本ですから、まず最低限きちんとした日本語でお客さん目線に立った文章が書ける必要があります。

プログラム能力はあなたの存在価値を高める

何をアタリマエのことを…と思われがちですが、SIerにおいては必要最低限しかプログラム言語のことを知らない人が山ほどいます。それで仕事になることも多いからです。でもそれだとクリエイティブなお仕事は出来ません。別の現場で必要となるスキルが足りなくて苦労するかもしれません。逆に、きちんとしたプログラム能力があれば大抵のことは言語が変わってもすぐに対応可能です。プログラム能力は日々研鑽が必要です。いくつになっても新しいことを知るのに貪欲であるべきです。

データベースは全ての基本

業務システムとは言ってしまえば「データを入力」し、「データを処理」し、「データを保管する」というシステムだということに尽きます。データベースはすべての基本です。特に業務システムではRDBと言われるデータベースを使用することが多いです。これをきちんと扱えるようになると色んな意味でつぶしが利きます。特にデータモデリングと言われる設計部分、SQLという実装言語をきちんとできればどこの現場に行っても重宝される人材になれます。

SIerで本当に必要なのは基盤よりの知識

業務システムを真の意味で構築するには、アプリケーションを作成することだけで来てもダメです。
お客さんの要望を満たすためにはどのようなレベルのサーバーが必要とか、ディスクの容量はこれだけいるとか、節約するためにはこういう手段があるとか、24時間動かすためにはこういう構成がよいとか、セキュリティーを確保するためにはこういう考慮がいるとか、こういう製品を使えば安く早くできるとか、そういったことを知っていることで、お客さんに最適なソリューション(解決策)を提案できます。
これは実際にそういう現場に放り込まれない限りは勉強しないと絶対に身につかないことです。会社で研修があるなら受けるべきだし、ないのであれば何かの形で体験するための努力はしたほうがよいでしょう。

「業務」を勉強しよう

ITエンジニアとして実力がついてくると、技術偏重になりがちですけれども、僕らの仕事の目的はあくまで「業務システムを作る」であり、技術の博覧会を開催することではありません。もっとも重要なのはやはり「業務を知る」ことです。大きなシステムになればなるほど、自分の担当する箇所はごく一部になりますから、業務の全貌を知る機会というのは案外無かったりします。でも、業務をきちんと理解していることでシステム構築のリスクは飛躍的に下がります。また、その業務を知っているということは新しい仕事をする上で大きなアドバンテージになります。
積極的に業務を勉強することはIT屋をやっているとどうしても欠落しがちな世の中の仕組みを知るという上でも重要です。


と、色々書いてみましたが、全部をいっぺんにやるのは無理ですよね。でもこういったことを心に留めておいて仕事に臨んでもらえばと思います。できればここに書かれていることを身につけている先輩を見つけて、まずは目標にしてみると良いと思います。