海外からの入金にマイナンバーが必要という情報の真実性について

金融ネタなのでこっちに。
色んな意味でこの記事は誤解があるんじゃないかと思う。

現在銀行によって対応はバラバラのようだが、マイナンバーなしの口座に海外から送金すると、銀行側で受け取りを拒否するらしい。本人名義の口座間であってもだ。
つまり、海外に住むひとが、日本に送金しようと思ってもNGを食らう。日本の家族や関係者の仕送りがストップされるという状況だ。

海外在住者の日本の金融システムからの締め出しが始まった

これは大きな誤解があって、むしろ「本人名義の口座間」が一番問題で、マイナンバーを取得できない人が日本の自分の口座に入金するのが「海外送金」というスキームでは難しくなるってことですね。ここでの問題は「日本の口座から海外送金」「海外から日本の口座に海外送金」する際の日本の口座側にマイナンバーが登録されているかどうかなので、「日本の家族や関係者の」口座については当然日本の家族や関係者なのでマイナンバーが取得でき、結果として入金できるので問題ありませんね。自分名義の口座だと難しいかもしれない。
なんでこんなことになるかというと、すでに対応されているFATCA(アメリカの外国口座税務コンプライアンス法)対応やここ最近整備されている国際租税回避のための仕組みであるCRS(共通報告基準)の対応によるものです。タックスヘイブンを利用した企業の実質的脱税や犯罪収益の移転を防止するためですね。

ところで、ここまでの話で問題があるとしたら今ちょうど過渡期の中、すでにマイナンバーが登録されてないと入金されない口座があるってことぐらいですかね。マイナンバーの通知は(トラブルを除けば)すでに終わっているので実質的には大きな問題はなさそうです。ちょっと捻って一番問題ありそうなのは海外転勤者が「自分で」「日本の口座から」自分の海外口座にお金を頻繁に移動しているような場合ですね。これは場合によっては面倒そうですが…。あとは日本で収益を上げる事業をしていて、自分自身は海外に在住しているみたいな。まあそういう場合は日本で法人格取れば問題なさそうです。

なので、

現地でドル建てで給与をもらい、それを日本の家族に送金している人は、生活ができなくなる。生存が脅かされるということだ。

海外在住者の日本の金融システムからの締め出しが始まった

なんてのは煽り過ぎであるし、目的を考えると不当とも言えない。そもそもグローバル大企業の租税回避のズルさについてはみんな不満あるんでしょ?

まあ大石さんはBitCoinやら何やらの伝道者でありそういう点についてはアナーキストに近い立場の人だからここぞとばかりに煽っているんじゃないかって思ってしまいますけどね…

追記

リンク先のコメント欄見たんだけど、随分罵詈雑言を放っていらっしゃる。贈与税云々って言葉も出てきているけど通常の生活費に該当するものは非課税扱いになるし、問題になるとしたらローンのある不動産の名義と税金の問題とかその辺りだけじゃないかなあ。そういうのはすぐに生活を脅かすものではないし、多分個別にしかるべき手続きが出来るようになるはず。
あと、そういうのではなく日本に残っている自分の口座で何かが運用されているようなケースは本来しかるべき代理人を立てて行うべきで、そこを本来形じゃなくやっていた人たちがいきなり面倒な立場に置かれるというのはまあご同情申し上げる程度には遺憾に思っておりますが…