Music for Battle Creek 〜The Brass Band Music of Phillip Sparke

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Phillip Sparkeといえば吹奏楽界では知らぬ人がいないくらいの超有名作曲家なのですが、元々はブラスバンド(いわゆる英国式金管バンド)の作曲家で、今もそちらが活動の中心です。もっとも、大抵の曲は吹奏楽にも編曲されますが。
90年代の半ばはやっつけ仕事気味といっては何ですが、粗製濫造気味(とはいえ名曲も書いているけど)だったのですが、2000年を過ぎてどうも初心に帰ったというか、昔の曲のエキサイティングな感じを円熟の筆で描くというような曲が増えてきて、初期の曲のファンとしては喜ばしい限りです。
さて、このアルバムの目玉はやはり2曲のコンテストピース、「Dance and Alleluias」と「Music for Battle Creek」でしょう。

Dance and Alleluias

2006年から始まったEnglish National Brass Band Championshipsの第一回課題曲として書かれた曲。このコンテスト自体は始まったときには賛否両論な感じでしたが、課題曲としては気合が入っています。あえて言うなら「21世紀のHarmony Music*1」。先の大作「Music of the Spheres」でモノにした書法を大胆に駆使して組み立てなおされたような、そんな曲です。Partitaの断片的なものもあり、ああ、あのスパークが帰ってきた、というような感じ。
2楽章のシンプルなメロディーのソロが激展開大転調にたどり着くときのカタルシスといったら。
Black Dyke Bandの演奏も素晴らしいけど、コンテストの際の優勝演奏(これはFoden's)の迫力も捨て難いなあ。優勝演奏、CDにならないものか。抱き合わせDVDしかでていません…
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Music for Battle Creek

「Harmony Music」、「Between the Moon and Mexico」に続く"The National"課題曲3曲目です。元々アメリカのプロバンド「The Brass Band of Battle Creek」のために書かれた曲ですが、アメリカ初演の前にコンテストピースになってしまったと言う…
すごく緻密な構成と美しいメロディーで出来ているのですが…なんか地味?Tutti強奏の時間が短いからかも。起伏の激しい曲ではあります。
3楽章の複雑に絡み合ったメカニカルなRondoといい、Sparkeっぽくもあり、ぽくもなし、とにかく曲の全体感はとてもカッコいいのです。こう、もうちょっと、あと一歩、押しが強ければ…。非常に玄人好みの曲ですねえ。

総じて、少し前に見られた安直な(ポップな)フレーズに逃げずにしっかりと考えて書かれたいい曲ばかりのアルバムでした。

*1:Sparkeの代表作にして(British)National Brass Band Championshipsの課題曲

ムラをかいま見たとき、そこには絶望があった

夜。いつものようにブラウザを開く。もはやルーチンワークと化したその行為が果たして人生にとってのプラスになっているのか既にわからなくなりつつある。しかし、何もしないことが言い知れぬ不安を煽ることは事実である。タバコをやめられないのと同質の感覚はきっと脳内麻薬の分泌を促す何かが有るからなのだろう。
そんなことを考えながら俺はLDRにかき集められた数千のfeedを光速で処理する。此処だけ時間の感覚が変わっている。一流のスポーツ選手が時間の流れを遅く感じるように、限界まで高まったブラウザに流れていくスピードも俺にとっては静止画に過ぎない。
「ムラ」そのキーワードにはずいぶん前から気付いていた。しかし、あまたのサイトを巡回しているからなのかもしれないが、特定のブログに固有の空気などないに等しいと感じる。幻想の「ムラ」。人の何かに帰属しないといけないことを象徴している、単なる言い訳としての存在。


そう、何かムシャクシャしていたのかもしれない。日頃は書かないブクマコメントが今日はやけに攻撃的だ。悪いな、と感じながらも、それはこんなエントリを書いたお前の自業自得なんだぜ?と思う。我ながら言い訳じみている。大体、キモイオフ会自慢に何故反応しているんだ。過剰なコミュニケーションを俺は必要としていない。


案の上だ。この前のコメントは随分と物議を醸している。ルサンチマン?この俺が?
擁護が心地よい。何が正しいか、冷静な判断力を持った人間にはわかるものだな。


「オフ会のお知らせ」そんなメールが届いたのは数日後のことだった。孤高を気取っている俺にオフ会に出ろとは良い度胸だ。しかし、何事も経験。現実の俺は一介の勤め人に過ぎないが、新たな地平を開くこともあり得なくはあるまい。「ムラ社会へようこそ」そんな声が聞こえてきた気がした。


「何で来なかったんですか!」仕事で缶詰になった俺を待ち受けていたメール。仕方がない。ネットのアクセスもできず携帯も入らない。そんなところで監禁されるとは夢にも思わなかった。謝罪のメールを送信しながら家にたどり着く。扉を開けると一枚の紙が舞い落ちる。宅配便か?
しかし、そこにはこう書かれていた。「何でこなかったんですか!」
…本名などどこにも掲載していない。ましてや住所などは…。
俺は何かに深入りしてしまったことを認識した。全ては見られている。きっといつまでも今までのネット上での俺を演じ続けなければならないのだ。
次のオフ会は必ず出席しよう、俺は仕事の疲れなのか、それとも絶望感によるものなのか、そんなことを思いながら意識を失った。

パスワード変更の話について補足

どのセキュリティー入門書にもパスワードの定期変更はセキュリティー対策として載っていますよね。先に書いたとおり、実際にはパスワードの強度がこれで高まるわけではありません。ブクマコメントいただいたので若干補足。

ockeghem security, password 『パスワードの定期変更って、防御策じゃなくて、事後対応策』<「サイレント・バンカー」に対しては事後対応策としても役に立たないでしょ。どういう場合に事後対応として有益なのか、世の中の説明を見ても不明確

asahi.com(だっけ?)へのツッコミとしては正しいですね。サイレント・バンカーはそういう意味では「ウイルスに引っかからない」ことしか防御策がありませんし…
で、事後対応としては僕の説明したとおりで、一発勝負の例えば「クラックして情報全部一気にぶっこ抜いちゃえ」みたいな攻撃の場合、パスワード判明=アウトです。役に立ちません。が、産業スパイがクラックできたアカウントを定期的にこっそり使う、というような場合は変更することでリスクを減らせます。それだけのことでしかないけど。
あと、事前防御策としての効果はないわけではありません。どうもパスワードへの攻撃というとリモートなイメージがありますが、ご存知の通り、一番漏洩しやすいのは付箋とかそういうメモ書きからですね。あとは推定。ローカルでの攻撃は、その人となり(趣味とかそういうの)を知っての上で攻撃するので、家族の名前とか、ペットの名前とか、パスワードポリシーで禁止されていないレベルで使用されてしまいますが、当然攻撃者はそれを試みるでしょう。同じパスワードの使い回しが出来ない状態で、定期変更をさせられていれば避けられます。
あと、ほら、自転車のナンバーキーって使っているところだけ綺麗だからすぐわかったりするじゃないですか。そういった類、例えば手癖とかをたびたび観察されることで漏洩してしまう、ということもあります。
ここまで書いたことでわかると思いますが、この対策って基本的に、企業ユーザーの対策なんですよね。パーソナルな空間が保障されている場所ではそれほどの問題にはなりづらい。だから、

iskwrsk セキュリティ デメリットの方が大きい気がするけどね。どっちかというと、セキュリティー対策してますよという銀行側のユーザーに対するプロパガンダな気がする。

実際にはBtoCのサイトでそれほど有効とも思えませんのであんまり銀行もアナウンスしていないような。実際、強制的にパスワードを変更しないと使わせない、という個人向けサイトってあるのかなあ(変更を推奨はされるけど…)。
リスクってのはどこに潜んでいるかわからないし、結局どんなポリシーを作っても個人に依存するのがセキュリティー対策です。とはいえ、特に業務上のものは、あまり無頓着にならないように注意喚起していきたいものですね。