ホミニッド・ヒューマン・ハイブリッド / ロバート・J・ソウヤー

ホミニッド-原人 ヒューマン -人類- ハイブリッド―新種
ネアンデルタール三部作。ざっとあらすじを言うと、不慮の事故により、ネアンデルタール人が人間として存続した並行宇宙から我々の宇宙にやってきたネアンデルタール人科学者ポンターが人間の女性と恋をしてすったもんだの大騒動。全部読んだらそんな感じです。
SFとしてのネタは正直煮詰まってないと言うか、アイディアだけと言う感じですが、テーマはちょっと危険。いわゆる並行宇宙がわかれる決定的な瞬間に二つの世界を分けた決め手となったのが地軸の反転による電磁波で、人間の精神はそれによって生まれたというもの。しかも、それによって神を見た人間は非合理的な存在として生を受け、何も見なかったネアンデルタールは合理的な存在として生まれたことが4万年後の未来の二つの世界の格差となっています。
ネアンデルタール世界の描写はある意味では文明批判だし、メインアイディアは結局神の否定なわけです。大丈夫なのか、これ?
結局SF的アイディアはろくに畳まれず、単なる舞台装置としてしか使われなかった気がします。ただ、異世界もののSF入門編としては向こうの世界が容易に想像可能というところで佳作とは思います。
基本ミステリ仕立てSFのソウヤーがコメディー・パロディーを書いたと言う感じですね。