この文はあなたがアクセスできる位置にありますがあなたを読者に想定して書かれてはいません

Discommunicative 「この文はあなたにむけたものではない」「あなたはこの文にアクセスできる」より。

その文が対象として想定する読者⊆その文にアクセス可能な読者。二つの集合が一致することはごく稀だ ――それにはおそろしく厳密なアクセスコントロールを必要とする―― したがって、誤読とディスコミュニケーションの可能性が生じる。

そうなんですよね。同じ文脈でわかりあえる人だけが集まっているのであれば誤読の可能性も低くなりますが、ジャーゴンですら多様性を持ってしまうウェブ上では想定する読者ですら、ちゃんとコミュニケートできるかわからない。ちょっと大まかに「想定する読者」を分類してみますと、

  • 特定の人向けに伝えたいから書く。
  • 不特定の人向けに伝えたいから書く。
  • 知り合いのみが読むのを想定して書いている
  • ネット人格として、リアル知り合いには読まれないのを想定して書いている

前者2つは正直出版と同じで公開というのに相応しいものです。出版と違うのは、反応がダイレクトに返ってくること、読まれることが直接収入にはならないことでしょうか。一方で3つ目は実際にはリアルワールドに置換可能でありますが、時間と距離を超越するためにはインターネットが必要です。ツールとしてウェブを使用しているわけで、本人は公開しているつもりはありません。想定している読者以外が読んだときの反応なんて何も考えていないし、それ以前に、読まれることすら想定していないかもしれません。最後なんかははリアルワールドの自分とネット上での自分を切り離しているつもりでやっている。しかし、その他諸々の情報とリンクされたとき、リアルとネットが結びついてしまうというリスクを忘れていたり、知人にばらされてしまったりするわけです。
さて、ウェブで公開しているという認識を持っている人は、想定外の読者について、どう注意書きを書くか。id:todesking氏曰く「「この文はあなたがアクセスできる位置にありますがあなたを読者に想定して書かれてはいません。あなたがこの文をどう解釈することも自由ですが、私はその解釈に対しいっさいの責任を負いません」かね?これもしっくりこないのだが。」。これ自体には違和感はないです。ただ、現実としては読者による解釈には責任はないけど、書かれている現実には責任があるわけで、例えば「飲酒運転した」とか書いてあったら公開している以上、運悪くそういうのを許せない人に捕まってしまったら炎上は目に見えているし、誹謗中傷を書いたら最悪訴えられます。その意識のない書き手はこの注意書きは免罪符にはならない。解釈の違いや誤読に対する反応は華麗にスルーすることが可能ですけれども、書くべきことではないことを書いちゃったらいくら「あなたは読者として想定されていません」と言ったところで無意味なんですよね。難しい。