ウェブにおける集団圧力

道ですれ違った見知らぬ人が突然こちらを指差して「こいつすごいバカ!バーカバーカ」って言ってきたらきっと唖然とすると思うけど何の根拠もないし、バカには関わらないのが賢明だからスルーすると思う。でも、それ以降にすれ違った人がみんな同じようにするとなると、さすがにスルー出来なくなるかも知れない。一時的な感情の問題が尊厳の問題になってしまうからかな。でも、多分そんなことは起きない。
でも、知り合いにやられた方がダメージはデカい。何故なら見知らぬ人のそれは言いがかりで片付けられるけど、自分を知っている人のそれは、何らかの価値観からの判断を伴った評価であり、それが正当であるか不当であるかをギャラリーに示す必要性があるから。まあ、必要性といってもスルーは選択肢にあるけどね。
で、それがウェブで起きた場合、見知らぬ人であっても単なるすれ違いにはならない。何しろ判断材料が書かれていて、その上で行われているものだから。もちろん、単発の理不尽に対しては華麗にスルーしてギャラリーの良識というか正常な思考に判断を委ねれば良いのだけれど、たとえ正当な批判であっても集団でやられると華麗にスルーは難しくなって、説明の必要性が生じるかも。
実はウェブでの集団は疑似的なもので、たまたまそこに集っただけである事が多いと思う。だから、こちらが個人としては相対しているつもりでも、相手にとってはそうではない。そのことを集団圧力に荷担しているというのは乱暴なんだろうけど、そう受け取るだろう人はいるし、そういう人はウェブに来るなとか覚悟が足りないとかは言いたくない。ただ、意図に応じた許容すべき線はあるのだと思う。たわいのない世間話と、世論を動かす意図のある政治の話のどちらも同じかどうか。でもカテゴリーじゃなく内容が基準かも。
匿名が集団圧力的になりやすいのは相手に反論をさせるための属性を持たないからかも。顕名だとそうでもない。完全匿名(トレーサビリティの事ではなくパーソナリティの識別子がないこと)での誹謗中傷はそういった点で認められるべきではないけど、属性がないことによる集団圧力化はどう解決すればいいかな。
属性が見えないままでの議論があまり有益でないなら、完全匿名を禁止しちゃえばよいのだろうけど…創造的なものや相談のハードル下げあたりでは十分に有用そうだしなあ。