今年の仕事を振り返ると、地上げをしていたような気がした

というか、地権者がはびこる再開発予定地で、いかに既存の既得権益者を納得させつつ六本木ヒルズを立てるかを考えるような仕事か。

利害関係者が多すぎる巨大システム再構築は難航する

既存も巨大、次期も巨大、となれば、巨大利権が巨大利権に移っていくことになりますな。当然、次期システムですから、メンテナンスコストを極小化(10000が1000になれば世間の相場が10であっても極小化なんです!みたいな)するといっても、利権(保守日銭仕事)は残ります。となれば、移行期間は長く、既存の対応も多く、というのを望んでしまうのが既存システム。もちろん、業務は既存なしでは動きません。政治力も金もある既存システムが次期システムのコンセプトのあれこれを潰していくなんてことも発生してしまうわけです。もちろん、「業務を知っているのは俺たち」ですから、次期システムにも食い込んで、でも「危険性を知っているのは俺たち」ですから、既存のサービスを維持するための提案中心に仕事しますよ!

利害が対立するときに身を守ることを優先する人が多いと先に進まない

「あそこが出来ないとうちもできません」というのは、並行して複数の部署が動いたりすると当然あるのですけど、あまりにセクショナリズムが進みすぎていると、「フィックスするのは基本設計完了後です」「うち、その基本設計もらえないと決められないことがあるんだけど、いつもらえる?」「基本設計完了後です」これでマスタスケジュールは同じです!できるわけねー!!!
言質を取られることを極端に恐れる世界の中で、「一緒にやって最終的な成果物のつじつまを合わせましょう」は通用しねーんだよ!!!
はあ。

で、うちの土地の代わりにもらえる部屋はどこなのかね?当然最上階だよね?

ヘリポートにでも住んでみる?と思わなくもないけど、システムなんて全体で整合性がとれて動いてナンボなんだけど、推進する人がそれを理解していない、あるいは理解はしているけど他からの突き上げに対応しきれないと立派な部屋に配管がない状態になってしまって内覧のときは満足するけど使い始めたらぶち切れ、的な何かに。

トップダウンボトムアップもダメ

トップはトップ過ぎて全体見て責任もってやるなんて到底無理、だからといってその下のそれぞれの人は失敗すると首になる仕事なんてしたくない。
ボトムでわかっている人はセクショナリズムの政治の壁に阻まれる。

結論

巨大システムを金の無駄にならないように再構築するためには、経営レベルの層に「XXの未来は俺たちが作るんだ!」的な情熱と、覚悟が必要。これは、ある意味絶望的。何しろ計画が壮大すぎて、作り終わるころには偉い人たいてい引退済みだもんね。今のシステムでトラぶらないほうが退職金よさそうじゃない?

今思うと、2000年くらいのときは、とにかくなんでもいいから小さく早く作れ、という仕事がこの業界でも多かった。某行のトラブルがクローズアップされて信頼性が問われるようになったけど、費用対効果のバランスはどんどん崩れていって、費用削減といったら手法も変えないでおいて単純な工数減、単価減、でもコンプライアンス対応で手続きだけは増えていくという本末転倒の状況になる中、システム屋の士気は落ち、未曾有の業界不況の中で日銭を稼ぐための提案が通ってしまう。

このままでは必要悪になってしまう巨大システムを何とかするための仕事そのものが必要悪みたいになってしまっている昨今、仕事がめんどくさくなって仕方がありません。

来年はもうちょっとましになるかなあ。