みんなでつくろう明るい監視社会

インターネットを始めた頃、そこは、監視の目が届かない領域だった。次第に一般化するにつれて、リテラシーのある人はプライバシーの問題を気にし始めた。IDだ個人情報だうんたらかんたら…
結果として。

そういったことをあまり考えず日常の延長線上で入り込んできた大勢の人たちが便利な方向にサービスは倒れつつあるし、そういったことをあまり気にしない人が引っかかるように物事が作られ始め、仕組みでどんなにガードしても本人達がだだ漏れにするプライバシーに属する情報が溢れ始めた。

よく、リアルで揉め事の最後の手段として使われる「遠くに引っ越す」ことは、被害者の側はまだ適用可能であるけれども、加害者側になったときにはうまくいかなくなると思う。加害者が引っ越すのは主に世間の目に耐えられなくなったからだけど、世間の目はすでにインターネットにシフトしつつある。

まだ、2chに匿名でひどいエピソードとして晒されるくらいなら特定できないから大丈夫かもしれないけど、mixiやらfacebookやらで揉め事が明らかになると、本人はネットから抹殺されるし、だからといってネットに書かれた本人の悪い話が消えてなくなるわけではないという最悪の事態に。

これって、みんなが嫌がっている監視社会がみんな自身の手で近づいて来てしまっているってことなんじゃないかと思う。

まあ、官憲の手によるものと比べれば幾分ましなのかもしれない。少なくとも、別件うんちゃらに使うためのものじゃないから。清く正しく生きる人にはさぞかし住みやすい…と思うわけでもない。世にDQNの種は尽きず、かえって不愉快かもしれない。

人にはいろんな過去があり、それは精算できたりできなかったりするものだとは思うんだけど、過去によって未来を完全に閉ざしてしまうのであれば刑務所はいらないわけで、時間と空間の隔たりがきちんと機能していることで社会が受け入れる仕組みが自然とできている。でも、ウェブの存在は時間と空間の隔たりを半ば取り払ってしまっている。

正義の行き着く果てが不毛の大地じゃなければよいと思うんだが。