ふゆかいな出来事

「急病人が発生したため、電車が遅れております」と、ホームに人が溜まっていく。夕方の帰りの時間帯。電車は多く、ラッシュにはならないはずだが、こういう出来事があると途端に人の山ができるのが都会だ。結局ぎゅうぎゅう詰めの電車に乗る。
終点間際。苦しい体制で両手で本を読む。ひじが触れるくらいのところにいる女性がブツブツ文句のようなことをつぶやいている。後ろのおっさんが触ってでもいるのか?しかし、どうもこっちをチラチラ見ている。何が言いたいのか。別に圧力がかかっているわけでもなく、つまり、腕を押し付けるようにはなっていない。触れているのも腕同士。誤解のされようもないのだが。
ところが、終点に着いたそのとき、わざとらしく靴を踏みつけていった。おいおい。安物履いているからいいけど。結局何が不満でどうして欲しかったのかさっぱりわからない。不愉快であることをきちんと伝えるつもりが無ければ、その場をただ立ち去ればよいのではないか。
通勤ラッシュなんて、いろんな人がいろんな人に、多かれ少なかれ苦痛を与えつつ成り立っているものだ。明確な悪意に晒されたわけでもないのであれば、それはただ単に貯金を引き出したと思えばよい。どうせ自分も誰かに苦痛を与えているのであるから。