ウェブ文化圏との衝突

文化というものは時に衝突し、時に融合して発展し、あるいは伝統が作られていくものではありますが、一つの文化圏と他の文化圏が相見えるとき、すなわちファーストコンタクトでは慎重を期する必要があります。
現実のルールをウェブに持ち込んでマイルールあるいはそのカテゴリ内のルールを作る。すなわち現実の文化をウェブに持ち込むこと自体は悪いことではないでしょう。しかし、ウェブはその仕組み上過度につながりが生じます。つまり、持ち込んだ文化圏が他の文化圏と意識する間もなく接し、そしてのボーダーを簡単に踏み越える。ラインの探りあいすら行われないこともあるためかなりの確率で不幸な衝突が発生し、分かり合えないまま戦争の焦土と化す事も珍しくありません。
けれども、ここで忘れてはならないのは、現実をウェブに持ち込む時点でその文化は既にウェブ文化圏の中に取りこまれているのです。先ほど述べた「過度の繋がり」と言うのがウェブ文化圏の重要なファクターであり、また伝統でもあり、それを拒否することは従来の文化圏の住人にとって外側からの侵略に思えてもおかしくないかも知れません。あたかも田舎暮らしに憧れる無知な都会人がやってきたかのように遇されるかも知れません。
自らの文化の素晴らしさ、あるいは原則、あるいはが最も思想的に優れている、または最も合理的である、はたまたもっとも皆を幸福にするはずと喧伝すること自体を否定はしません。が、ここで起きていることは異なる文化との衝突なのですから、どちらか一方がボーダーラインを探り、そして共存できる部分を探すか、あるいは相手を食い尽くすかを決めなくてはならないのです。そしてウェブの世界が現実を侵食しているのではなく、現実がウェブの世界を侵食しているのであれば、その探りを入れる主体は現実側の存在であるべきです。
騙して、あるいは力ずくでウェブのインフラをウェブ文化圏の住人から奪い取る、それも未来の選択肢の一つかもしれません。もしそうであるとしたらせめてそれがみなの最大限の幸福のために必要だと言う意思の下行われて欲しいものです。