釣りでも何でも良いけど、これ書いちゃダメだろ

先のWinnyジャーナリスト宣言を擁護するエントリで言及されたので、一応書いておこう

武田さんが指摘したいことは、
ウィニー+ブロガーによって、“意識せざる”ジャーナリスティックな活動が産まれてくる可能性を、皮肉をこめて指摘
・ジャーナリストこそは、“意識的に”ネット上に散在する情報を積極的に取得し、それらを問題意識によって繋げていく活動を行うべきという提言
の2点ではないでしょうか。

2007-06-02 - 無造作な雲

僕は武田さんという人の記事をこの人のものだと意識して読んだのはこれが初めてだから、彼の真意と言うのは読めていないかもしれない。でも

もちろんウィニー自体は価値判断能力を備えていないのでハードディスク内の情報を無作為に流出させるだけ。その中に政治家や官僚の接待記録や、防衛関係や警察の内部資料あたりが含まれていて、それが首尾良く報道関係者に見つけられれば価値を発揮するが、流出情報の殆どは市井の人々の個人情報だろう。
 だが、その種の情報の価値も軽視すべきではない。そもそも情報の価値とは受信者が決めるもの。個人情報をうまく扱える人間の手に渡れば、それは千金の価値を帯びるようになる。ジャーナリズムにおいても事情は変わらない。流出情報がどんな価値を持つかは、受け手側次第なのだ。
 特にそこで視野にいれるべきは、それが他の情報と接続される可能性だ

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070522/125376/

この発言は首肯することができない。もともと保護させていなかった個人情報が何故新しく法律まで作って保護することになったかと言うと、今までばらばらで、単独では電話セールスやDMくらいにしか使えなかった個人情報が、電子データとなったときに他の情報と容易に接続され、統合され、分析することが可能になったからで、それが個人の健全な生活を脅かす危険があるからだ。だから、情報の価値があるのは当たり前であり、その価値自体は個人に帰属し、守られるべきものであることを保証すべきだ、と言うのが重要な点である。
例え、ジャーナリストの手に流出情報が渡るとしても、その情報から得た何かを分析し、有用な部分を抽出した結果をジャーナリストとして発信するわけであって、名簿業者に売るわけではあるまい。なぜ、全世界に発信されるべきでない情報が発信されることが(鍵括弧と言う留保をしたとしても)ジャーナリズムに繋がるのか、さっぱり理解できない。
追記:言及先でこのエントリに対し「もしかすると、ジャーナリストは、自身の問題意識において報道する価値があると判断した対象に関しての積極的な取材、情報収集を前提として「Winnyで流出した情報」も有効に活用すべきというくらいは、武田さんは思ってらっしゃるかもしれない、とは思う。」とコメントされています。それはちょっと読み取れないなあ。Winnyがやっていることは、そもそもジャーナリスト的な仕事でもなんでもないのだから。