タクシーに例えるなら

これちょっと違うと思う。

まして、全くの第三者から、「あんな悪いやつを、きちんと目的地に運ぶなどけしからん」とタクシー会社にクレームをつけたり、「あんな悪いやつの預金の引き出しに応じるなどけしからん」と銀行にクレームをつけたりはしません。その種のクレームをつける人は、どこの業界でもおかしなクレーマー扱いするのであって、その種のクレームを「非常にありがたい宝なんだ」などと尊重する会社を見たことがありません。別に、タクシー会社も銀行も、自分たちのことをタクシー会社様、銀行様と思っているが故に、「下々の一般庶民から何か言われることには非常に不愉快」としてそれらのクレームを尊重しないわけではなく、自分たちの顧客に本来あるべきサービスを提供することに外部から文句をつける特殊な人々のお相手をしているほど暇ではないからです。

自分たちはテレビ局様で,下々の一般庶民から何か言われることには非常に不愉快なんです!: la_causette

しかし、タクシーはどうも乱暴な運転をしているように傍からは見えます。もしかしたらそれがプロの運転手としての矜持なのかも知れませんが、世間の目と言うのは見た目の印象によって左右されるところが多いでしょう。

  • 懲戒請求
    • あの運転は明らかに交通ルールを逸脱している!許せん!警察はちゃんと捕まえろ!タクシー会社はあんな運転手首にしろ!
  • 弁護方針懐疑派
    • どうもあの運転はマナーを逸脱しているし、危険運転に該当するか微妙なところだけど、あんなに乱暴だといつか事故を起こすだろうし、それに巻き込まれたらかなわんし、何とかしてくれないものかなあ。ブログで苦言ぐらいは呈しておかないと。
  • 仕事だからいいんだよ派
    • まあ、仕事なんだからしょうがないでしょ。お客さんが一刻も早く目的地に着けって命令されたらしょうがない。社会通念上の捕まらない程度のスピードで運転しているんだしね。
  • 何にも悪いことしてないよ派

このくらいの印象の差異があるわけで、子供の安全とかを考えても、乱暴なタクシーを野放しにしていてはいけないと考える人が多数いても不思議ではありません。先日のヒューリスティクスの話でもあったけど、結局、社会全体にとってどうか、と言うのは法律がどうあるべきか、の観点からだけ考えていてもしょうがないわけで、まあ実際には弁護団は悪くないとは思うけど、こういう視点を捨て去ってしまうと言うのは弁護士の社会性と言うものに大いに疑問を感じさせるものであって、また、その社会性に依拠して運用を任されている現在の日本の司法と言うものにも不信感を覚えさせてしまうようなものですから、色々と不安です。