業務知識は都市伝説ではない

極端な話、「これが問題になると俺の出世に響くんだよね」をソリューションするのも業務知識です。極端だけど。

確かに金融は業務知識がないと歯が立たない。でも、自分の経験した限りでは、それ以外の業務は、案件が始まってから勉強しても十分間に合います。

SIerが必要としているのは業務知識だという都市伝説 - yvsu pron. yas

まあ言わんとすることがなんとなくわかるのは僕が金融の人だからかもしれない。でも社内で流通をやっている人も、違う倉庫に配送されちゃったりして苦労してますよw
今のシステムって大きくなったり統合されたりしたせいで、作っている人にインプットやアウトプットが見えにくくなっている。だから、作る局面ではもはや業務知識は要らないかもしれないけれども、そういう人たちが10年後20年後に全く業務がどうなっているかわからないシステムを息も絶え絶えな感じで保守している姿が目に浮かびます。それがイヤだからシステム部門の内製化回帰なんだろうね。

汎用機の世界では、技術的な部分で差がつくことはほとんどなかった。だから、差別化のために業務知識が重要視されたのです。

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うちの会社でもうすぐ引退な人は汎用機のプロジェクトでベンダー押しのけて色々やっちゃう人だけど、そういう意味では明らかに差がある。逆に、技術的には差があったからこそ、差がつかない業務知識のところを重視し、ベタベタなロジックだけで生きていく領域を作った会社が生き残った。そして、貴重だけど人数の要らない人材と、一山いくらの人材にわかれたって感じじゃないかなあ。
だからといって、業務知識が重要ではないわけではなくて、この業務要件を満たすシステムはどう作るべきか、というグランドデザインをするためにはやっぱり業務とシステム両方に精通した人が必要なわけですよ。
ただ、グランドデザイン自体が類型化してきたことで、当面の解決すべき課題はスケーラビリティーとハイアベイラビリティーで、あとは作りながらでも、みたいになっていることはあるけれども。トランザクションシステムの要求なんてそんなに難しいものじゃない。けれどもクリティカルな部分で、例えば無闇にSOAとか言い出してトランザクション境界がどうクリティカル業務に影響するかなんて全く考えてなかったりするからいざ業務要件で実装してみたら遅くて使い物にならないとか、そんなことは普通にありますよ。折角新しく作ったのに後の拡張性なくなったとかね。
でもこれはその通りだな。

技術的なスキルのある学生は悲観的に思う必要はありません。そのスキルは、SIerに入っても役に立ちます。でも、ちゃんとしたSIerかどうかは、きちんと見分けなければいけません。技術が付加価値の低いことだと思っているSIerはさけ、「技術と業務知識は重要、そして何よりも重要なのは、要件を技術に落とし込む能力」そう考えているSIerを選びましょう。

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適切な技術を選択するためには、経緯(歴史)や思想を含めた部分で、色々な技術を知っておくことが必要です。政治に跳ね返されてもめげずに、都度都度最適なソリューションを提案できるSEでありたいものですね。