科学とニセ科学の境目

ムペンバ効果とやらを紹介したガッテンが大槻教授に噛み付かれたという話。

これに対し、物理学者の大槻義彦早大名誉教授は、公式ブログの08年7月22日付日記で、読者からのメールで放送を知ったとしたうえで番組批判を展開。ムペンバ効果については、お湯にすると分子構造が変わってしまうことになるとして、「どうして、20〜30℃熱しただけで分子構造が変わるでしょうか?」と疑問を投げかける。そして、「どんな科学者のグループが再現実験をやっても同じ結果が出なければ、ひとつの物理現象とは言えません」として、その現象を紹介したNHKを痛烈に批判している。また、「お湯を作るエネルギー、お湯を凍らせるための余分なエネルギーの無駄づかいを煽っている」ともしている。

「水よりお湯の方が早く凍る!」 「ためしてガッテン」実験は本当か : J-CASTニュース

うえー。これニセ科学じゃね?。どうしよう。2〜30度熱したら分子構造が変わるかどうかって言われてもそんな主張誰もしていないし、そもそも純水で実験しているわけじゃないから、分子構造はともかく、構成要素は変わりそうだし、科学者による再現実験を求めていながら再現できなかった実験を提示していない。とてもじゃないけど科学者のやる批判に見えないよ…
そう、なんか批判がニセ科学ちっくなんだよね。
2〜30度で変わるはずが〜ってのはまあわかるんだけど、粒子の状態は違うと思うし、水の凍りやすさが分子の構造の変化まで必要だとは思えない。なんどやっても再現するのであれば、何がしかの理由はある。入力と出力がパラメータ化しやすいということは、水伝みたいな主観的、選択的な結果提示にならない。直感的にはなさそう、と思っても、「効果が起きるためには水とお湯で分子構造が変わるということになるはず」みたいな否定の仕方はどうなのかと思うなあ。
そういえば、上記の記事へのブクマで、冷蔵庫が頑張っちゃうってのがあったけど、昔の冷蔵庫は常に一定パワーだけど、今の冷蔵庫はそうでもないから、気をつけたほうが良いかも。
水伝批判に対して「反証実験すればよいのに」というがあり、それに対する、例えば「現代の科学で判明している常識に従う限り、ありえない」から付き合わない、という反論があるけど、それとはちょっと臭いが違う。客観的なパラメータ化できる特定の条件下であれば再現することが実証されているんであれば、なんらかの現象として存在する、というところは認められるわけで。もちろん、それが「水とお湯」の特性の違いなのか「水の場合とお湯の場合の冷蔵庫の状態」の差異による現象なのか特定の冷蔵庫の特性なのか、わからないけどね。だから、「お湯には水より早く凍る特性があることがわかった!」という決め付けは間違っていると思うけど。

ムペンバ効果の簡略化された熱力学のみから分析した直感に反する部分は、物理学の問題へのアプローチの際に適切な変数を全て考慮し、最も有用な法則その他を用いる必要性の例証となっている

ムペンバ効果 - Wikipedia

科学とニセ科学を判別するものは、科学的な知識に基づいた直感ではないんだよね。現象の捉え方のアプローチが間違っている(きれいな結晶云々とか)わけではないものに対して頭ごなしに否定する態度は、僕は科学的ではないと思う。