量産された「ITバカ」達の行く末

近年のIT業界は人が足らん人が足らんといってソフトウェア工学に興味がないどころか、手に職とかいってITシステムをそろばんかなんかと勘違いしているような学生を大量に新卒採用してきました。明確なキャリアプランもない、プログラムを作ることを事務作業と思っている、それでいて、自分はそれなりに仕事ができると思い込む若手社員が急増しているように思えます。
黙々と、与えられただけの仕事を与えられた範囲でこなして成長もしない。別にわざわざ大学出てつくような職でもない。IT業界で働くというのがそんな職に就くことだということになってから久しいです。
とにかく頭数さえいればなんとかなるし、その頭数の絶対数が売り上げに直接結びつく、という時代はそろそろ終わりそうです。IBMもアレだけ大量に中途採用をしていたSEをついにリストラし始め、ほかのベンダーも追随する気配があるとかないとか。
でも、SIerに顧客が求める需要に対して、単純に人を増やすことでそれをまかなってきたことで、ベンダーはIT(もっというとプログラム)以外につぶしの利かない人材を大量生産してしまったのですよね。リストラされそうになって何が何でも会社にしがみつきたい人が出るのも当然。
就職活動中の学生が「手に職」「つぶしが利く」という言葉を発することがあります。でも、IT業界についてはそれは大いに勘違い。スキルが「作業」にとどまっているうちはたいした応用も利かない、しかも熟練が必要ない、あるいは、素質のある人なら簡単に初級の域はクリアしてしまうというスキルであるから代わりはいくらでもいる、そういう仕事なんですよね。そこをクリアしないとどのような職種でも得られるであろう普遍的な仕事(顧客との折衝や議事録の作成、ビジネスメールのやりとり、事務手続き等々)に至らないことも多いわけです。勘違いしてたいしたキャリアプラン、実現したい働き方もない状態でやってきた新人たちはかくしてパソコンに向かうしか能のないITバカに仕立てあがります。全員じゃないけど。
さて、IT業界の、特にSIerに就職した若い人たちは自分のスキルとは何か、をもう一度思い返してみましょう。果たしてリストラされたときに再就職するためのスキルをもっているのか。え、プログラムには自信がある?そのスキルをもってリストラの対象となったんじゃないのでしょうか?というわけで、IT業界への再就職はこのご時勢難しい。あるいはブラック企業へようこそ。
よく

  • 会社の事務手続きとかめんどいwあんなのやらせるよりプログラム書かせろ
  • 法務研修とか俺関係ないしww
  • 管理会計とか営業でつけろよww

とかでITにかかわらない部分の仕事をやりたがらない人がいますけれど、そういうのって実際にはITバカであることから脱却できるチャンスなんですよね。貸借対照表とか、少しくらいは読めても損しない。そりゃあ好きな仕事だけやってれば世の中回るんだったら楽でいいけどね。
IT業界の人として、技術屋として、自分のスキルや仕事にプライドを持つことは必要だけれども、できる社会人としてのIT以外のスキルを身につけることも忘れちゃいけません。
量産されたITバカたち、もう手遅れな人は生産した会社がちゃんと面倒見てほしいんだけど…