67年くらいのアシモフの未来予想がいい線行っている件

SFマガジン初代編集長にて日本のSFを切り開いた立役者である福島正美氏の未完の回顧録、「未踏の時代」を読んでたら出てきた。
67年ころアシモフが行った21世紀予想について。

1宇宙開発について
2000年までには月に大規模な恒久的基地が建設され、火星には有人宇宙船が着陸している。そのほか無数の無人観測宇宙船が太陽から冥王星に至る全太陽系の探索を行っているだろう。

基地は宇宙ステーション、火星はまだまだ、です。もうちょっと。

2エネルギーについて
原子炉の建設が進み、石炭、石油、水力その他全ての発電所の供給する電力に匹敵する電気エネルギーを生み出しているだろう。

http://www.fepc.or.jp/present/nuclear/setsubi/index.html
フランスなんかは完全にこの通りですね。

3医学について
人工血管、人工心臓、人工肝臓などほとんどあらゆる人工臓器が完成し、その移植手術が実用化している。ただしガンについてはまだ根本的な治療あるいは予防の技術は完成していない。寿命も飛躍的な延長は望まれないが生理的な若さを保つ期間が延びる結果、人生はより充実したものになる。他方、世界はその当然の帰結として現在以上の人口増加に悩まされる。また、精神障害が二十一世紀病となるかもしれない。

肝臓はまだまだな感じですが、その他は大体当たってるよね。特に最後(涙)

4社会および個人生活について
人口増加のため大都会では地下の開発がかつての高層ビル建設のようなハイスピードで進むだろう。日用品は増産とイノベーションによって使い捨てシステムがより普及するだろう。しかし進歩は同時に危険を伴う。過密化した大都会では停電のような事故によってする大災害を起こすかもしれない。また食糧問題も層簡単に解決できない二十一世紀の難問の一つとなるだろう。唯一の方法は人口増加を食い止めることである

ドバイみたいな何も無いところに高層ビルが立ち並んだり、上海がカオスだったり、まだまだ高層ビル建設が盛んではありますが、こと過密都市東京に限っては地下街の発展著しいですねえ。使い捨てってのもそのとおり。もっとも、リサイクルってのもありますが。停電による災害は今のところそこまで大きな問題にはなっていない感じです。日本だけ見ると人口の問題はむしろ減少のほうだけど、世界的にはこの通りかな。

5コミュニケーションの発達について
二十一世紀はレーザー技術の開発によってテレビが飛躍的は発達を遂げる。チャンネルは大幅に増え7000のチャンネルを全世界に包装できるだろう。ただし、この時代の人々はこれだけのチャンネルを要求するほど退屈しているかもしれないのだ。

レーザーは関係なかった。でもチャンネルについても、退屈についても、それほどはずしてない。
技術についての荒唐無稽な予想じゃないだけによくあたっている感はあるけど、40年以上前の予想なんだから大したものです。

未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) (ハヤカワ文庫JA)

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